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哺乳類の祖先、卵を産んでいた 2億5000万年前の化石で証明 南ア

要約:

■ 1. 研究の概要

  • 2億5000万年前の化石により哺乳類の祖先が卵を産んでいたことを示す史上初の証拠が発見された
  • 研究論文は米科学誌「プロスワン」に掲載された
  • 化石は南アフリカで発見されたリストロサウルスの胚であり体をきつく丸めた状態で保存されていた
  • リストロサウルスは2億5200万年前の「大絶滅」を生き延びた哺乳類の祖先とされる

■ 2. 研究手法と証拠

  • 高解像度CT(コンピュータ断層撮影)とシンクロトロン(太陽光より明るいX線を発生させる装置)を用いて化石をスキャンした
  • 胚の顎が完全に形成されていないことが判明した
  • 顎の未形成という特徴は現代の鳥類やカメの胚にのみ見られるものであり死亡時に卵の中にあったことの証明となる
  • 研究筆頭著者はウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)のジュリアン・ブノワ准教授である

■ 3. 卵の特徴

  • 卵は革のような柔らかい外殻を持っていたと考えられる
  • 硬い殻を持つ卵が進化するのはこの時代から少なくとも5000万年後とされる

■ 4. 大絶滅生存との関連

  • ペルム紀末の「大絶滅」では地球上の生物の90%が死滅したがリストロサウルスはこれを生き延びた
  • リストロサウルスは非常に乾燥した砂漠のような環境に生息しており干上がった川床で餌を探し柔らかい泥地に潜り込んで干ばつを乗り切っていたと考えられる
  • 大きな卵を産んでいたことが生存の重要な利点となった:
    • 革のような殻を通して失われる水分が同時代の他の種の卵より少なかった
    • 孵化した時点で幼体がすでに相当成長しており自力で餌を食べ捕食者から逃げることができた
    • 成熟スピードが速く早期に繁殖可能であった

■ 5. 授乳の進化への示唆

  • 乳を分泌して子に栄養を与える能力は大量絶滅後の三畳紀前期から後期(2億5200万年~2億100万年前)にかけて進化した可能性が高い
  • 初期の授乳は子に栄養を与えるためではなく革のような卵を湿潤に保ち保護機能を高める手段として進化した可能性がある

■ 6. 今後の研究計画

  • 授乳の進化についてさらなる研究を計画している
  • 胎生(母親の体内で胚が成長する繁殖形態)の進化についても研究を進める予定である
  • これらの解明が哺乳類の繁栄の過程を理解する上で大きく寄与すると期待されている

■ 7. 外部専門家の評価

  • エディンバラ大学(英スコットランド)の古生物学・進化生物学教授スティーブ・ブルサット氏はこの化石を「興味深い化石だ」と評した
  • 哺乳類の祖先の一部が依然として爬虫類のように卵を産んで繁殖していたことを示す「確固たる証拠」と述べた
  • この時点では親は生きた子どもを産まず授乳も行っていなかったとし後の時代に現れたこれらの特徴が現代の哺乳類の繁栄に大きく貢献したと指摘した