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空気より軽い素材が宙に浮く!名大助教が挑む、航空宇宙の常識を覆す材料革命

要約:

■ 1. 超軽量素材の概要

  • 名古屋大学大学院工学研究科の上野智永助教が、空気より0.5〜10倍軽い超軽量素材を開発
  • カーボンナノチューブを水に分散させた液体を凍結乾燥して製造する
  • 内部はスポンジ状で無数の細孔を持ち、発泡スチロールより密度が低い
  • 熱を加えると内部の空気が温められ、熱気球の原理で素材が宙に浮く

■ 2. 超軽量素材の機能と用途

  • 機能:
    • 材料の配合や製法を変えることで断熱性、吸音性、電磁波遮蔽などの機能を付与可能
  • 応用分野:
    • 空飛ぶクルマや大型ドローン向けの素材
    • EV車の断熱材・吸音材
    • 宇宙機器の電磁波遮蔽材
    • 次世代モビリティや航空宇宙分野における燃費向上・環境負荷低減への貢献が期待される

■ 3. 研究者の経歴

  • 幼少期に宇宙飛行士・毛利衛の講演を聴講し、絵本作家・かこさとしの作品の影響で宇宙に関心を持つ
  • 名古屋大学工学部機械・航空工学科を志望するも不合格となり、物理工学科に入学
  • 物理工学科で材料工学の面白さに目覚め、修士課程で難燃材料を研究
  • 博士課程で東京大学に移り、生物の形態形成を模倣した材料システムを研究
  • 2011年に博士号を取得後、名古屋大学工学研究科に助教として帰任

■ 4. 研究テーマの着想と研究開発の経緯

  • 着想の背景:
    • 形態形成研究中にゲル乾燥で軽量素材が生成されることを発見
    • カーボンナノチューブ添加による強度向上のイメージから超軽量素材を着想
    • 齋藤永宏教授の「研究は端をやるもの」という教えに基づき、究極的な軽さを追求
  • 研究開発の経緯:
    • 2012年、JSTの「CREST」基礎研究支援プログラムでテーマが入賞し研究開発が本格化
    • 2016年、JAXAの公募により軽量断熱材の研究を開始
    • 航空宇宙分野のニーズを把握しながら吸音材・電磁波遮蔽材への応用可能性を見出す

■ 5. 起業と社会実装

  • 2022年、研究の社会実装を目的に株式会社上野技術研究所(上野技研)を設立
  • 内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」に採択され、企業からの引き合いが増加
  • 2024年4月、事業の専業化を目的に名古屋大学発ベンチャー「株式会社ソラマテリアル」を設立
    • 代表取締役は上野研究室の修了生・大里智樹氏
    • 上野助教はCTO(最高技術責任者)として技術開発と経営に携わる
  • 設立から約2年でピッチコンテスト入賞やメディア露出が増加し、社会への情報発信力が向上

■ 6. 人材育成への取り組み

  • 学生の自発的な行動を促すことを意識した指導を実施
  • 能力や成長スピードの個人差を認め、多様な評価軸で学生の良さを引き出すことを重視
  • 研究者・経営者としての二足の草鞋の経験を人材育成に活用