■ 1. 概要
- 電気通信大学が、吊り橋型遠投型太陽電池を用いた営農型太陽光発電の実証実験を実施すると発表した
- 実証実験は静岡県の茶畑に遠投型太陽電池を吊り橋上に設置して行われる
- 静岡県の次世代型太陽電池導入モデル創出業務委託事業に採択されている
■ 2. 遠投型(筒型)太陽電池の特徴
- 発電方式:
- 太陽からの直接光のみではなく、大気中の散乱光や地面の反射光を利用した発電が可能
- 耐風性:
- 筒と筒の間に十分な隙間を設けることで風が通り抜けられるようになり、強風によるパネル飛散リスクを軽減できる
■ 3. ペロブスカイト太陽電池の採用
- ペロブスカイト太陽電池の特性:
- ペロブスカイト結晶を利用して製造された太陽電池
- シリコン太陽電池に替わる次世代太陽電池の有力候補として期待されている
- ガラス基盤型とフィルム型があり、フィルム型は容易に曲げられるため筒の内部への設置に適している
- 採用の経緯:
- 電気通信大学が遠投型太陽電池に最適と評価するペロブスカイト太陽電池を筒の中に封入している
■ 4. 吊り橋型構造の特徴
- 急峻な斜面においても設置しやすい
- 構造的特長:
- 筒と筒の間をケーブルで接続するシンプルな構造
- 支柱の数を最小限に抑えられる
- 十分な高さに設置すれば農作業の妨げになりにくい
- 税制上のメリット:
- 簡易的な設置方式であるため固定資産税の節税が可能
■ 5. 営農型太陽光発電への応用
- 筒と筒の間の隙間から太陽光が差し込むことで、下部での農業が可能となる
- 静岡県の茶畑での実証内容:
- 発電量の検証
- 茶葉の成長への影響の検証
- 茶葉は強い日光により日焼けして品質が低下するため、遠投型太陽電池は遮光としての効果も期待されている
■ 6. 技術の変遷: 色素増感太陽電池からペロブスカイト太陽電池へ
- 電気通信大学が開発した初期の遠投型太陽電池は色素増感太陽電池を使用していた
- 色素増感太陽電池の問題点:
- 変換効率が6%程度にとどまった
- 耐用年数が半年程度と極端に短く実用的でなかった
- 電解液の封入が必要でガラス基盤が適していたため筒状への加工に不向きだった
- 蛍光灯のように利用者自身が交換する運用方法が提案されていたが、交換本数が多く現実的でなかった
■ 7. 実証実験の現状と課題
- 発電量や耐久性に関する具体的な数値は公表されていない
- 茶畑上に設置された画像は公開されているが、実際に電力を利用したデモンストレーションは実施されていない
■ 8. 今後の展望
- 本実証実験の結果を踏まえ、静岡県内の企業等と連携して本格的なソーラーシェアリング事業への展開を目指す予定
■ 9. 営農型太陽光発電をめぐる社会的課題
- 農業よりも発電事業を重視する事業者が増加していることが社会問題となっている
- 農林水産省は生産実態のない営農型太陽光発電所の許可を取り消す取り締まり強化を発表しており、2027年度から運用を開始する予定
■ 10. 補足事項
- 呼称の問題:
- 東京都ではペロブスカイト太陽電池を「エアソーラー」と呼称する必要があるが、釣り橋型遠投型太陽電池はペロブスカイトという表記を含まないため東京都内でも同じ名称を使用できる
- 文書中で「遠投型」と「遠頭型」の表記が混在しており、統一が望まれる