■ 1. 生命の起源と代謝の謎
- 地球最初の生命の誕生:
- 科学上の大きな謎であり、生命の起源についてさまざまな説が提唱されている
- 生命の一般的な定義:
- 周囲の環境に反応し、エネルギーを取り込んで成長し、自己複製する存在
- 代謝という普遍的要素:
- 摂取した物質から日々の活動に不可欠な分子を作り出す働き
- 摂取した物質を細胞を動かすエネルギーや体を構成する物質に変換する
- 酵素をめぐる循環的な難問:
- 体内で代謝を行うには化学反応の触媒として機能する酵素が必要
- 酵素自体が化学反応の産物であるため、最初の生命体が他の酵素の助けを借りずにどのように最初の代謝を開始したのかという疑問が生じる
■ 2. 研究の対象と手法
- 研究主体:
- ドイツのデュッセルドルフ大学分子進化研究所のチーム
- 単体で生存・成長・繁殖できる自由生活細胞が誕生する以前の代謝に焦点を当てた
- 初期生命体の代謝:
- アミノ酸・RNA塩基・ビタミンなどの生命の構成要素を作り出した
- 材料は初期の地球に存在していた水素・アンモニア・二酸化炭素などの化合物
- 代謝の複雑さ:
- 420種類もの化学反応からなる
- 一瞬にして生じたものではなく、捉えどころのない中間的な集合状態を経た
- 調査手法:
- 細菌と古細菌のゲノムに含まれる主要な代謝酵素のタンパク質構造を調査
- 代謝酵素を複雑さの順に並べるアルゴリズムを開発し、進化の順序を判断して大まかなタイムラインを作成
■ 3. LUCAと環境中の金属
- LUCAの不完全な酵素セット:
- 全生命体の最終共通祖先LUCAは必要な代謝酵素の半分しか持っていなかった
- 残りの半分はLUCAが出現した環境中の金属によって触媒されていた
- 熱水噴出孔の金属の役割:
- LUCAが存在した海底の熱水噴出孔にある金属は、代謝における驚くほど多くの酵素を置き換えることが可能
■ 4. 代謝進化の四段階
- 第一段階:
- 代謝反応を環境中の金属のみに依存する段階
- 第二段階:
- LUCAにおける環境中の金属と自身の酵素のハイブリッドで代謝を行う段階
- 第三段階:
- LUCAから細菌および古細菌に分岐する進化段階
- 第四段階:
- 外部金属への依存が完全になくなり、単体で存在できる自由生活細胞となる段階
■ 5. 細菌と古細菌の独立進化
- 分岐と自立の順序:
- LUCAから自由生活細胞への進化は、細菌と古細菌が分岐した後に生じていた
- 独立した発明:
- 細菌と古細菌は代謝を環境中の金属ではなく自分自身で担う方法を、それぞれ独立して生み出した
- 筆頭著者ナタリア・ムンジャヴァックの指摘:
- 細菌と古細菌の祖先が同じ必須代謝反応を触媒するために、構造的に異なる酵素を独自に進化させた事例が見られる
- こうした並行的な発明が、自由生活性の細菌と古細菌の独立した出現への道を開いた可能性がある
■ 6. ATPをめぐる発見
- ATPの位置づけ:
- 代謝を促進する重要なエネルギー源
- 酵素によって作られる複雑な分子であるため、生命誕生以前の化学反応では利用できないと考えられていた
- 非酵素的なリン酸化の実証:
- 熱水噴出孔に存在するパラジウムを触媒として亜リン酸塩を有機化合物と反応させた
- 水中で一晩のうちに代謝性リン酸化反応が起きることがわかった
- 共著者マノン・シュリッカーの指摘:
- 亜リン酸とパラジウムがATPと酵素の代わりとなる
- これは驚くべきことであり、初期の進化をはるかに理解しやすくする
■ 7. 生命の木の更新可能性
- ScienceAlertの主張:
- 今回の発見がさらなる研究によって裏付けられれば、思い描く生命の木は更新が必要になるかもしれない
- 従来の生命の木:
- LUCAを幹と考え、過去と現在のすべての生命体はそこから枝分かれしていると考えがち
- 想定される新たな像:
- 完全に別々の2本の幹が存在し、それらがまだ厳密には生命体として存在していなかった段階で分岐した可能性