■ 1. 広島原爆による未知の合金の発見
- 未知の合金の発見:
- 1945年8月6日に広島へ投下された原子爆弾によって生成されたガラス質の破片から、これまで知られていなかった合金が見つかった
- 2019年の先行研究:
- 地質学者のマリオ・ワニエ氏らが広島湾の宇品島から複数の粒子を採取した
- 極めて高い温度下で生成されたとみられる金属粒子の存在を明らかにした
- 2026年の新研究:
- ワニエ氏が参加し、フィレンツェ大学のルカ・ビンディ氏が主導した
- 先の金属粒子の中に、これまで知られていない新たな合金が含まれていることを明らかにした
■ 2. 発見された合金の特徴
- 試料中での産状:
- 多数のフェロクロム(Fe-Cr)金属片の中から、当該の合金が1つ見つかった
- 組成と結晶構造:
- ケイ素を豊富に含む
- 鉄、クロム、ニッケル、マンガン、モリブデン、アルミニウムなど複数の金属元素から構成される
- 複雑な結晶構造を持つ
- 異常な金属相:
- 自然現象や通常の工業プロセスでは決して見られない金属相が形成されていた
■ 3. 合金の生成メカニズム
- 火球による気化:
- 推定7000℃を超える火球の熱により、鋼材やアルミニウム、銅を含む材料、その他の工業製品や都市の残骸が気化した
- プラズマ雲での混合:
- 気化した物質がプラズマ雲となった
- その雲が瞬く間に膨張・冷却する過程で、本来なら混ざり合うことのないさまざまな金属由来の原子が混合された
■ 4. トリニティ実験での先行成果
- 過去の同種の特定:
- ビンディ氏らは以前にも、人類史上最初の核実験であるトリニティ実験で生成されたとみられる物質の特定に成功している
- 共通する形成過程:
- 今回発見されたものと同じく、気化、激しい混合、ほぼ瞬時の急冷という極限過程によって形成されたと推定される