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光合成ならぬ「電気合成」で増える微生物、深海熱水噴出孔近くに

要約:

■ 1. 電気合成微生物の実証

  • 深海熱水噴出孔近くの電気合成:
    • 沖縄の深海熱水噴出孔の近くに生息する微生物が、電気エネルギーを用いてCO2から有機物を作り増殖することを実証
    • 海洋研究開発機構(JAMSTEC)などのグループによる成果
  • 光合成の「光」を「電気」に置換した反応:
    • 光合成と同型の合成反応であり、エネルギー源が光ではなく電気
    • 光や有機物が少ない環境でも、微弱な電気を利用すれば生命活動を維持できることを意味する
  • 従来の知見の限界:
    • 実験室で培養している微生物には、細胞内に取り込んだ電気をエネルギーとしてCO2から有機物を電気合成するものがいると判明済み
    • 自然環境で電気合成をしている微生物がいるかははっきりしていなかった

■ 2. 深海熱水噴出孔とチムニー

  • 熱水噴出孔の成り立ち:
    • 地球を覆う岩盤であるプレートの境界がある深い海底に存在
    • しみこんだ海水が地熱で温められ、高温の水となって噴き出す
  • チムニー(煙突):
    • 噴出孔の周りで、冷えて析出した沈殿物が煙突状に堆積した構造

■ 3. 実証の着想

  • 先行して確認された放電現象:
    • JAMSTECの山本正浩副主任研究員らが2017年に、チムニー周辺で放電現象が起きていることを実証
    • 約600ミリボルトの電位差が生じており、一般的な乾電池1.5ボルトの4割程度に相当
  • 証明のための実験設計:
    • 同等の環境を実験室で再現する
    • 有機物を除いた状況下でも、深海熱水噴出孔の近くで採取した岩石片の微生物が増えれば、自然環境に電気合成微生物が生息することを証明できる

■ 4. 培養実験

  • 実験条件:
    • 培養液として用意した人工海水に岩石片をつける
    • 水温15度、CO2濃度10%の空気の下で電気を流す
    • 1週間ごとに培養液内の微生物の種類や細胞増殖を観察
  • 結果:
    • 桿菌であるチオミクロラブダス属細菌SREC(スレック)-4株が増加
    • 生存する微生物の中で一番多い割合を占めるようになった

■ 5. CO2取り込みの検証

  • 検証手法:
    • SREC-4株を蛍光染色し、どこにあるか分かるようにした
    • 二次元高分解能二次イオン質量分析装置(NanoSIMS)を用い、同位体で標識したCO2由来の炭素が細胞内に取り込まれた場所を特定
  • 検証結果:
    • 染色場所と炭素の取り込み場所が一致
    • SREC-4株が細胞内にCO2を取り込んで有機物に変換していることを示す

■ 6. 酸化還元境界と今後の展望

  • 電気合成が成立する条件:
    • 自然界の生命活動を支えるエネルギー源としては、植物が太陽光から有機物を作り出す光合成がおなじみ
    • 電子の授受が起こりやすい「酸化還元境界」では電気合成が可能になる
  • 酸化還元境界の身近さ:
    • 潮干狩りで掘り進むうちに白い砂から黒い砂に変わる場所も該当する
    • 金属鉱物の取れる鉱山も該当し、酸化還元境界は思いのほか身近にある
  • 今後の探索:
    • 深海熱水噴出孔は酸化還元境界の最たるもの
    • ほかにも自然環境下で電気合成をする細菌がいないか今後探していきたい

■ 7. 研究体制と発表

  • 研究は横浜市立大学や東京大学とともに実施
  • 英学術誌「ISMEジャーナル」電子版に6月23日付けで公開

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