それではなぜ、コロナ禍において20代の若年女性が対人関係や対人コミュニケーションによって自殺しているのか。
端的に結論をいえば、彼女たち若年女性こそが「コロナ前」の世界で、対人関係や対人コミュニケーションという領域でもっとも大きな社会的便益を得ていた属性の人びとだからである。
コロナ禍においては、若年層にかぎらず女性の自殺が全体的に増えたのは、コロナ前の世界では女性が男性よりも往々にして「好意的な他者」と触れ合える機会が多かったからだ。「他者からの好かれやすさ」「友好的なコミュニケーションのされやすさ」の点において、男性と女性では雲泥の差がある。「ニュー・ノーマル」はかつての世界で女性がすでに持っていたそのようなイニシアティブをことごとく奪い去るものだった。
擬似的に男女平等の世界が実現された結果、起きた事は自殺率の上昇だった。