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マガジン限定記事「トランプの復活を阻止する方法は明白だ。だが……」

かれらは雁首揃えて「助けることで道徳ポイントが高まる弱者」だけを弱者だと認識してしまい、「置き去りにされた人びと」を見逃していた。だれもその歪な状況に待ったをかけられなかった。内心では「ヤバいんじゃないか?」と思っている人も多少はいただろうが、しかし口には出せなかった。口に出せば「お前は女性/マイノリティ/LGBTを差別する差別主義者か!」とレッテルを貼られて、社会的に抹殺されてしまいかねないからだ。

共感の得られやすさ、同情の喚起しやすさ、助けたときに得られる道徳優位性の大きさにかかわらず、弱者であるならみな等しく支えて包摂する――たったそれだけのシンプルな方法によって、この世から「ポピュリズム」の種は萌芽しなくなる。トランプが2024年に復活することを阻止したいなら(あるいはトランプの後継者を未来永劫ホワイトハウスの門をくぐらせたくないなら)、とるべき解決策と目指すべきゴールは現時点ですでにこれ以上ないくらいにはっきり見えている。

共感性や同情心によって弱者問題にコミットしている人が大多数であるかぎり、トランプ的なポピュリズムの芽を摘みとるための解決策である「弱者同士の分断」は解決できない。

しかし「共感性や同情心が豊かでない人はそもそも弱者問題にコミットしたいと思わない」という致命的なパラドックスがある。