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困難女性支援法(Colabo関係法)にかかるパブリックコメントの留意点

困難女性支援法についてパブコメがはじまるそうです。

Colabo・ぱっぷす・bond・若草プロジェクトなどで注目を集めていることもあり、多くの意見提出が予想されるところ、中央省庁でいくつかパブコメ担当の経験がある身として、パブコメの留意点をまとめておきます。

■結論

○多数決でも署名でもないためコピペは有害無益。

○基本的にパブコメの時点の疑義には答えられるようになっているため、これまでとは違う視点・明らかでなかった事実からの疑義が有効。

○パブコメはあくまで行政によるものであり、「そもそも法律がおかしい」などを受け付ける場ではない。

■多数決や署名ではない

物議をかもしてる事案のパブコメだと、 同じ内容のパブコメが何百何千も届けられることがよくあります。

ただ、御注意いただきたいのは、パブコメは多数決でも署名でも人気投票でもなく、意見公募手続です。すなわち、行政内部における議論で汲むことができなかった意見を求める場です。

たいていの場合、主な(的はずれでない)パブコメ意見についてはエクセル表にまとめ、それぞれのパブコメ意見について担当部局の反論を記載し、できあがったものを決裁や議員説明資料として使います。

例えば「意見A」というパブコメが1万件届いたとしても、役所的には「意見A」でしかないし、それに対応する「反論A」を記載して終わるだけ、ということになります。

加えるとすれば、【同じパブコメを1万件読ませる】という意味のないことに役人のリソースを使わせるということでもあります。

もちろん、件数というのはマスコミ(や騒ぎを大きくしたい議員・活動家)にとっては大事ですが、少なくとも手続き上はこのような扱いとなり、本来は全く意味のないものです。

■新たな視点・事実が重要

たいていの場合、パブコメをはじめる時点で良くなされているような意見には反論が可能になっています。

担当部局も馬鹿ばかりではありませんので、可能な限り情報収集をし、関係者と議論を重ね、反対意見に対する反論も準備できている、ということです(その反論が施策として正しい、ということは意味しません。少なくとも行政として形式的に反論可能になっており、そこを突かれても行政は止まらない、という意味です。)。

具体的には反対の立場の議員や法制局(法律政令)、財務省(予算関連)等々から詰めに詰められており、それでも反論をしてきたからこそパブコメの手続きに進んでいます。

良くなされているような意見を提出しても、準備されている反論をコピペされて終わり、ということになります。

したがって、これまでなされてこなかった新たな視点や、新たに判明した事実による意見が重要になります(担当部局が回答の準備ができていないため)。

余談

ただ、例外的に極めて生煮えでパブコメに至る施策がないとは言いません。特に政治に引っ張られて結論ありきになってしまっているような施策です。

■あくまで行政によるもの

例えば厚生労働省が困難女性支援法の運用についてのパブコメだと、

パブコメ「そもそも困難女性支援法○条はおかしいやろ!」

厚労省「そんなん言われても法に基づいて行政するのがワイら行政庁の仕事やし(法律議論したいなら国会でやってや)」

となってしまいます。

それはもちろん重要なことですが、パブコメで言ってもどうしようもないってことです。

法案に対するパブコメであればもちろんありですけどね。

■ではどうすればいいか

個々人で考えましょう。

私が「○○という疑義あるよね」といってそれがコピペされると、ひとつの意見としてまとめられるならまだましで最悪悪質な悪戯と思われる可能性すらありますので。

ただ、こういった意見はあんまり意味ないよねというのは、パブコメ資料を見てから暇があればまとめます。(1/20からパブコメ開始らしいんだけどe-gavではまだ開始されていない様子。何かあったかな?)