「国の借金」という言葉を聞いたら、眉にツバした方がいいです。現在の日本において、「国の借金」という言葉で語られるのは、ほぼ全てウソです。「国の借金を語る」のではなく、「国の借金を騙る」のが実態です。なお、ここでは、現在の日本における円建てのものを指していますが、MMTで言うところの主権通貨建であれば、同様のことが言えます。
[...]「国の借金」ではなく、政府の債務です。国民は債権者側です。正反対です。
「国の借金」と呼ばれている、政府の債務は、返済する必要がありません。踏み倒して良いという意味ではなく、借り換え等を行えば良いということです。額を減らす必要が無いということです。
政府の債務とはある種の名称に過ぎません。『政府の債務は借金ではなく、単なる約束事』に書いているように、政府の債務と呼ぶと定義しているから、政府の債務と呼ばれているに過ぎません。発行済みの、政府の国債や日銀の日本銀行券(紙幣)について、その分を債務として計上するのは、定義がそうなっているからに過ぎません。
『「国民の財産を減らせ」と叫ぶ人々』で書いたように、政府の債務は国民にとっては、財産です。政府の債務を減らすということは、国民の財産を減らすことです。国民を貧しくすることです。本来、マイナスの価値しかありません。
債務と債権は、同額です。借りた額と貸している額は同額です。政府が債務を引き受けることにより、国民が債権を得ることができるわけです。財産を得ることができるわけです。
政府の債務は、一般に、事実上、返済できません。ごく小さな国であるか、一時的なものであれば、減らすことは可能です。しかし、日本のようなある程度以上大きな国が、長期的に政府の債務を減らし続けるのは、一般に不可能です。
こういうことを言うと、「ドイツはどうなんだ?」と批判する人がいそうです。しかしながら、ドイツはユーロです。ドイツ政府が債務を減らした時、相手側が債権を減らしたりする範囲は、ドイツ国内に制限されません。債権を減らしたりすることを他国に押し付けることが可能です。
言葉遊び感も感じるところだが。