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「他人のツイートをスクショして投稿」を違法とした判決、なぜ知財高裁で覆ったのか?

「そもそも本件規約は本来的にはツイッター社とユーザーとの間の約定であって、その内容が直ちに著作権法上の引用に当たるか否かの判断において検討されるべき公正な慣行の内容となるものではない。また、他のツイートのスクリーンショットを添付してツイートする行為が本件規約違反に当たることも認めるに足りない。

他方で、批評に当たり、その対象とするツイートを示す手段として、引用リツイート機能を利用することはできるが、当該機能を用いた場合、元のツイートが変更されたり削除されたりすると、当該機能を用いたツイートにおいて表示される内容にも変更等が生じ、当該批評の趣旨を正しく把握したりその妥当性等を検討したりすることができなくなるおそれがあるのに対し、元のツイートのスクリーンショットを添付してツイートする場合には、そのようなおそれを避けることができるものと解される。

そして、弁論の全趣旨によると、現にそのように他のツイートのスクリーンショットを添付してツイートするという行為は、ツイッター上で多数行われているものと認められる。

以上の諸点を踏まえると、スクリーンショットの添付という引用の方法も、著作権法32条1項にいう公正な慣行に当たり得るというべきである」

1審判決の判断を前提とすると、スクショツイートについては、常に引用は成立せず、他に適法となる理由がない限り、著作権侵害になってしまうという問題がありました。そのため、一般ユーザーに対して、スクショツイートは控えて、ツイッターが用意している引用リツイートの方法を用いることをおすすめせざるをえませんでした。

これに対して、控訴審の判断では、スクショツイートであっても、態様によっては引用が成立する可能性があるということになります。

先ほど述べた複数の裁判例があることも踏まえると、少なくともスクショツイートであることをもって、直ちに引用が成立しないと判断される状況ではないと考えてよいでしょう。したがって、現在の状況では、一般ユーザーにはスクショツイートをおこなうという選択肢もあります。

ただし、誤解してはならないのは、控訴審は「スクショツイートはすべて適法」と言っているわけではないということです。あくまでも「スクショツイートは一律にアウトではない」と判示しただけで、態様によっては、引用が成立しないことはもちろんありえます。