おそらく「漫画の悪影響」って、男子と女子で均等ではないんだろうな。少年漫画って男子を中心に話が進んでいくんで、女子の方は話が飛びがちなんだけど、その隙間を埋めるために異常なほど運が良く書かれる事が多い
一方で少女向け漫画もおおむね運で乗り切る事が多く、その結果として、女性キャラクターに感情移入して読むと「現実感」と「現実」の間に結構差が発生してしまう
例えば近年のなろう小説でも、主人公は異世界転生して神様からチートスキルを貰ったラッキーな人間として書かれる事が多いが
そんな主人公も最初は異世界に戸惑ったり、チートスキル所持なりにそこそこ苦労して生活基盤を整えていく事になる。でないと話が秒で終わってしまうからな
ここで、同じ小説のヒロイン枠の女性を注目してみると「普通に間違った決断を繰り返しピンチに追い込まれた所に、突然異世界からチートスキルを持った人間がやってきて、自分に好意を持って、問題を解決してくれる」わけで、幸運過ぎる。トラックに轢かれる必要もない
なろう主人公の「ものすごく幸運だけどちょっと苦労する」という物語を成立させるために、周りの人間は幸運で辻褄を合わされがちで、主人公側の女性はその煽りを最も受けやすい
主人公の幸運は幸運に見えるように描かれるが、物語の都合による周辺人物の幸運は読者に気付かれないように描かれるため
読者は主に「なろう主人公チートスキル貰って転生とか幸運すぎだし、その後の展開も幸運すぎ~」ってなるけど、周りの人間の幸運に気付くことはあまりない、作者が意図的に隠してるか、作者自身も気づいてない
この構造は意外と大きな問題を引き起こす。こういう構造の物語を大量に接種すると、次第に心の中に「主人公はしんどそうだから脇役になりたい」という気持ちが育ってくる
「話の都合で脇役が異常に幸運」を感覚的に学んでしまっているからだ、無意識的な誤学習である
人間は自分に近いキャラクターに感情移入しやすい。そして女性キャラクターは脇役になりやすい。であるからして、女性の方が誤学習の強度が大きいと言えるだろう
俺は物語の接種しすぎによる最大の弊害って、大した努力をしてないのに異性にモテモテとか、異世界転生を信じて自殺とかではなく「脇役にも何か良い感じの見せ場が来ると思うようになる」だと思っている
これのせいで人生メチャクチャになってる奴が結構いるからだ。そしてそれは男性より女性に多い
男でも「なんとなく生きていても自分が主役になる日がくる」とか「(主観的な)努力していればいつか報われる」みたいなふんわりした漫画的な世界観を内面化してしまってる人は多い気がする。
そして、歳を重ねたある日薄々気付いていた現実と直面する時、気が狂ってしまう。