「時給3,000円ないと子供を育てられない」というのは、当て推量で言っているわけではないです。4年制大学卒業まで子供を育てるには、現在の物価水準で2400万~3000万円が必要です。子供が留年せずに大学を卒業するとして、22年で割ると1年あたり110万~140万円が必要です。
人口の維持に必要な2人の子供を育てるには、その2倍の追加支出が必要になります。夫婦2人が生きていくのに年間およそ300万円が必要だとして、子供2人を育てるには年間所得600万円くらいが必要だということになります。もちろん、「大学を出す必要なんてない!」という論点もあるでしょう。
が、産業革命以後の世界では「技術と教育の競争」という現象が起きています。簡単に言えば、戦前の中卒ぐらいの仕事を戦後は高卒がするようになりました。昭和の高卒ぐらいの仕事を、現在では大卒や専門卒がやっています。時代が下るほど、「まともな職につくための学歴」は高まっていくんですよね。
20代~30代の子育て世代に時給3,000円を準備できない社会では、子供を持つことが難しくなります。1人育てるので精一杯で、2人育てるハードルはかなり高い。結果として、人口は先細り、文化は衰退していきます。若者がカネを持てない社会には、継続可能性がないんですよ。
確かに世帯収入600万を20〜30年維持し続けるのはかなりハードル高いような。