老婆心ながら若手の研究者に言っておきたいことをもう一つ。独学やそれに近い人に、特に気を付けて欲しいと思うのは、大家の先生が書く「晩節の奇矯本」とか「冥土の土産本」とか言われる書籍(あるいは学説)です。それまで真っ当に研究してきて、めでたく大家と呼ばれるようになった学者なのに、なぜか晩年になって急に変なことを言い出したり、妙な本を出す人がいます。しかもタチの悪いことに、一応は学術書の体裁だったりするのです。
大家の本なので、Amazonのレビューを見ると★5が複数ついていたりする。その直弟子の大学教授が、ご丁寧に自身のHPでその本を激賞したりする。でも、なぜ素晴らしいのか、誰も説明できていない、ただのトンデモ本なのです。
なぜ晩年になって急にトンデモ論を言い出すのか理由は分かりませんが、大家と呼ばれて誰にも注意されなくなると、小さな独裁者になって晩節を汚す人は、一定数いるのだろうと予想します。(大家でこのようになる人はあくまで一部です。念のため)
以前に、それと知らずにこの種の学説に乗っかって研究してきた若手がいました。もちろん査読なんか通るはずもなく、その人は数年を棒に振った形になりました。もう、可哀そうで可哀そうで仕方がないですよ。若い研究者の皆さんは、よくよくこの種の本(学説)に乗っからないよう、細心の注意をお願いします。