ヨーロッパ哲学者の世界観に対して一貫して向けられるヨーロッパ中心主義という非難は、たんに彼らの思考における認識論的欠陥に基づくものではない。それは道徳的頽廃の一貫した兆候である。私は過去に何度も、ヨーロッパの哲学的思考とその最も著名な代表者の根底に現在ある不治の人種差別を指摘してきた。この道徳的頽廃は、たんなる政治的過失やイデオロギーの盲点ではない。それは彼らの哲学的想像力に深く刻み込まれており、そのために彼らは救いがたいまでに部族的なままなのだ。
私見では、パレスチナに関するハーバーマスの道徳的破綻は、ヨーロッパ哲学とそれ以外の世界との植民地的関係における転換点を示している。世界はヨーロッパの部族哲学の誤ったまどろみから目覚めたのである。今日、私たちがこうして解放されたのは、パレスチナ人のような民族が世界各地で苦難を被っているおかげである。彼らの長期にわたる歴史的なヒロイズムと犠牲によって、「西欧文明」の基盤にある剥き出しの野蛮さがついに解体されたのだ。