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「できません」「やりません」 協調性ゼロの販売員が“退職勧奨”応じず… 会社を提訴も「完敗」した“明白な”理由

登場人物

■ 会社

Apple Japan合同会社

■ Xさん

・女性(昭和48年生まれ)

・いわゆる接客スタッフ

Xさんは店舗の従業員や協力企業の従業員と衝突しまくります。トラブルを一部抜粋すると以下のとおりです。

・確たる根拠がないのに、リーダーに対して「●さんが商品の販売台数をごまかしている」と伝える。

・学生アルバイトに対して「仕事を甘く見ている」「チームの雰囲気を悪くしている」「一緒に働きたいと思わない」と言う。アルバイトさんはXさんの発言にショックを受けリーダーに相談した。

・Xさんがある社員に「カラーコンタクトを外すよう」注意した。その社員がカラーコンタクトをつけているようには見えなかった日でも、Xさんは注意を続け「カラーコンタクトをしている。うそをついている」と言った。

Xさんはほかにも以下のように、他店の従業員と衝突していました。

・上新電機の従業員に対して、契約電話の契約手続き用カウンターが「邪魔になる」と言ってカウンターの撤去を求めた。Xさんは、要求に応じなかった上新の従業員をにらみつけた。店長と副店長はXさんを退店させた。

・Apple Shopの近くの通路に立って接客していたUQの従業員に対して「通路に立たないよう」求め、UQ側とトラブルになった。

・Apple Shopの中でiPhoneの案内をしていた協力企業の従業員に対して、Apple Shopからの退去を求めた。

・Apple Shop内の展示機のWi-Fi接続を上司に無断で切断。理由は「子どもが長時間ゲームをしていた」というもの。

Xさんは店長と副店長から退店を命じられた平成30年3月ころから出勤していませんでした。平成30年4月12日、会社はXさんに対して厳重注意処分を出します。処分の理由は以下のとおりです。

・店舗から相談があった際、Appleのガイドラインに沿って対応できる依頼内容だったのに「できません」「やりません」の一点張りで店舗と口論になった。

・店舗から要望があった際、実際にはAppleに存在しないルールを根拠に「ルールだから」と言って一方的に断る。

・「断ることについてはApple本部の承認を得ている」とウソをついた。

・Apple TVの正式なデモコンテンツを使用せず、大音量で音楽を流し店舗の営業を妨害した。

・店舗がXさんに「iPhoneのネット回線がつながらない。コンテンツもアップデートされていない」と相談したのに対応しなかった。

▼厳重注意処分はOK

裁判所は「おおむねXさんの行為は懲戒処分事由にあたる。これを理由として厳重注意処分をすることが社会通念上の相当性を欠くとはいえないので、厳重注意処分はOK。なので損害賠償請求は認めません」と判断。

▼退職勧奨

裁判所は「執拗に退職を迫ったとは認められない。Appleによる退職勧奨が社会通念上相当と認められる限度を超えて、Xさんの自由な退職意思の形成を妨げたとは認められない。この退職勧奨はOK。なので損害賠償請求は認めません」と判断。

・基礎知識

【退職勧奨】と【退職強要】は違います。退職勧奨とはカンタンにいえば「ユー、辞める気ない?」と持ちかけることです。こういったライトなものであれば合法です。それを超えれば退職強要になります。

正式な言葉で言うと【説得の手段や方法が社会通念上相当と認められる範囲を超え、労働者の自由な意思形成を不当に妨げるような態様でされた場合】は退職強要となり、違法なのです。

MEMO: