社会学者の上野千鶴子さんが、京都府京田辺市の中央公民館で講演した。「誰もが安心して弱者になり、要介護者になり、認知症になってもいい社会にしなければいけない」と語った。
同市ボランティア連絡協議会(内藤康夫会長・44団体)が結成30周年の記念式典に合わせて催し、ボランティアを中心に約300人が聞き入った。
上野さんは、日本は「自助」ファーストの社会とし、公助との谷間を埋める共助の働きにボランティアが欠かせないと説明した。例えば、在宅高齢者は見守りネットワークや移動支援などを求め、それらのニーズを思いついて行動するのがボランティアだと述べた。
いずれは誰もが「おひとりさま」になるが、介護保険制度により「おひとりさまでも在宅で死ぬことが可能になったと思った」と話した。しかし、その使い勝手が悪くなるような「制度の改悪」が何度もなされようとしており、「ちゃんと(改悪反対を)言わなくてはいけません」と訴えた。