被告の橋迫氏は「三浦ゆえさん(原告)とかいう編集者が、山田ノジル(原告)と黒猫ドラネコ、マダムゆきを記事に登場させ、いい加減なやり方をさせた」「個人を誹謗中傷するライターを起用するなんて信じられない」「山田ノジルさんも黒猫ドラネコさんも問題の指摘をされると仲間内で悪口プークスクス。マダムゆきさんは堂々と誹謗中傷」などと発信した。
マダムユキさんのブログ記事で被告の著書について書かれたことなどが発端となったようだが、どんな理由があったにせよ、事実誤認を含む投稿にはなっているし、このほかにも原告らの交友関係などについて事実無根の投稿もあったそうだ。
山田さんと三浦さんは、こうした様子では直に要望を伝えるのは難しいと考え、面識があった集英社の橋迫氏書籍担当編集に「根拠のないデマを投稿するのはやめてほしいがどう対応すればいいか」とメールで相談。するとその担当編集から橋迫氏への転送を提案されたという。
そうして転送されたメールを橋迫氏がSNS上で公開してしまい「山田ノジルさんと三浦ゆえさんは記事への批判を裏から手を回して黙らせようとしている印象」と投稿、前述したように原告が「デマ」と主張する投稿もさらに連投されていたという。
さて、プライバシー侵害についての被告弁護士による尋問から。メール文をどのような意図でコピーして公開したのかなどが尋ねられた。
この件については裁判官からも「なぜ被告はメールを公開していいと思うに至ったのか」という裁判官なりの疑問も投げかけられ、被告はそれに答えていた。
「原告のメール文章と編集者からの文章を混同した」ことや、「事実無根のことを自身の大学や出版社に送られては困るし恐怖を感じたから」のような回答だった。
次に、名誉棄損について。以前から山田ノジルさんに悪意を持たれていると被告が考えていることが分かる投稿について原告弁護士が尋ねた。投稿内容(前述)がいくつか挙げられ、その意図の確認などがあった。
被告は、2019年11月に公開された記事(※)などを見て、編集者である三浦さんの主導などで山田ノジルさんらが被告の悪口を言っていると考えて発信したようだ。
原告弁護士からの「あの3人とありますが、誰に言われていたんですか?」
そういう内容の質問だった。これに対して被告は特に悩むこともなく、「山田さんと、黒猫ドラネコさん、マダムユキさんです」と回答。ここまでなら訴状にもあるので想定内だったが、問題は次だ。
「その悪口を言われた根拠は?」のように問われた被告は割とスムーズに、「黒猫さんからは以前(不穏で失礼なことを)言われたことがあります」みたいに答えたのだった。
傍聴席からズルっと崩れ落ちそうに天を仰いだ。「お、俺かよ…」と半分ほど口から出かけた私に注目し、ざわつく聴衆。
「オイオイ…なんかやってもいないこと言われとるでオイ」と思った記憶は微かにあるものの、ほぼ意識が飛んでしまったせいか、自分では正確に証言内容をメモできなかった。ライター失格である。
隣に座っていた裁判ウォッチャー山口三尊氏がこっちを向いて嬉しそうに「悪いヤツじゃないっすか」とか小声でいじってくる。ぐっ…静粛にしろ…! さんそんチャンネルめ…!
原告弁護士によると、やはり被告が我々に誹謗中傷されたという証拠資料も出ていないとのことなので、やはり最後に「(本当にその証言で)大丈夫ですか?」と原告側から確認のための念押しがあった。
これにも被告の橋迫氏は「大丈夫です」と即答していた。