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ごく小さな会社をつぶした話

http://anond.hatelabo.jp/20160111151845

ブクマ見たらあまりにも他人事ばかりでかわいそうなので書く。


大なり小なり会社をやっていれば、資金繰りに困ることはある。

そして、ほとんどの会社は、いずれつぶれる。

本当かどうか知らんが、5年で半分の会社が、10年で9割の会社がつぶれるという。

そして、私は12年目で会社をつぶした。


ごく小さな社員5人の会社だが、多いときは売り上げ5千万程度。

しかし、業界全体に縮小し始め売り上げ低下、4千万程度になった9年目くらいから資金繰りに困り始める。

面白いもので、9年会社をやっていると信用があり、借金はできる。

というか、信用金庫なんかは向こうから借りてほしいとお願いしてくる。

そこでいったん持ち直したが、11年目には得意先が倒産し、売り上げ3千万まで減少。

自転車をこぎ出し、精神的に一切余裕がなくなる。

電話の半分くらいは借金と買掛金の取り立ててで、電話が鳴ること自体が恐怖になる。

しかし、電話に出なければ仕事にならない。

そして、食欲も性欲も、好きだったことをやる気力も一切なくなる。


12年目には包丁を前にして、5時間死ぬか悩んだ。

しかしまあ、今死ぬとあまりにも多くの人に迷惑をかけるなと、そこでようやく会社をつぶす決断ができた。


社員に素直に話し頭を下げ、未払賃金立替払制度について説明した。

これで給料の8割は保証される。

得意先には安心できる別会社を紹介した。

買掛金は保証されないので、弁護士に相談するまでになんとか払い終えた。

(ここは若干違法性を問われるところではある)


金融機関以外には迷惑がかからない体制を作って、弁護士に相談した。

弁護費用は東京なら大体60万、そして少額管財で裁判所に20万。

そこは借金を返さなければすぐにできるはずだ。

当時、返済額は月に80万。

売り上げは月に250万くらいで、金を返さないとこんなに楽なのかと、びっくりしたのを覚えている。


その後、いろいろあったけど、そこはまあいいや。

結果的に失ったのはクレジットカードと当時つきあっていた彼女くらいなもので、いまはのんびり暮らせている。

なんか申し訳なくて彼女は作れないけど、そこはまあしょうがない。


たぶん、頭の中には死ぬことばかりだと思う。

でも、最悪会社つぶしちゃってもなんとかなるから、絶対に死んじゃだめだよ。

死なずに逃げることを考えて。それがいいたくて、つまらん文章を書いてみました。


あと、ひとつ、どうでもいいことを。

クレジットカードは会社をつぶす決断をするまで使える。

接待して資金提供のお願いをしたといえば、最後に豪遊できるよ。

そして、それがだめなのであきらめて弁護士に頼ったというシナリオ作ればいいので。

とはいえ5万くらいしか使えなくて、ずいぶん小さな人間なんだなと思ったことを、ぼんやり思い出した。



【追記】

なんとなくはてブ見たら自分が書いたものが出てきて驚いたので追記。

まず最初に、そんなにいい人じゃないよ。

そもそも会社つぶさない経営者がいい人。

だから、会社をつぶしていない社長を尊敬しろとはいわないが、ちょっとでもたいしたもんだなと、そういう目で見てあげてください。

つぶさないでいる経営者の皆様、本当にお疲れ様です。


すでに書いている方もいるけど、会社経営で借金が不要ってのは、ほとんどないと思ったほうがいい。上場企業ですら、借金してないところはほとんどない。

そして、ヤミ金になんか手を出してないよ。金利が低くても、それどころか黒字でも倒産することはある。

最後の期はうちもリストラとコストカットで黒字になってる。

でも、売り上げ5千万規模の時の借金が残っていれば、売り上げ4割減では黒字でもどうしようもなくなったりする。

もちろん、経営も借金も下手だからつぶしたんだけど、会社ってそういうこともあるんだなとご理解いただければ。


そしていまも細々同じ仕事してます。人いないんで今日も徹夜。

まあ、なんとか食えてます。ほぼワープアだし、きついけどね。結婚してなくて良かった。


こういうの書くの恥ずかしいし、正直書いてて結構辛かったけど、会社つぶしても生きていけるってことが伝わればいいかなと。

なので、はてブしてくれた皆様、ありがとう。

ref:ごく小さな会社をつぶした話