さて、今回行った提案をもう一度振り返っていこう。
- 専業主婦を許さないムードを作る。
- 配偶者が子無し専業主婦(主夫)ならば、浮気していても慰謝料なしで一方的離婚をできる法律を整備する。
- 男性を家庭進出させ、女性を社会進出させるインセンティブを作るため、所得補償ありの育休の期間は男性2年、女性半年とする。
- 女性がSTEM系へ進学するのを当たり前と見なすよう、女子本人、その親、教師を教育する。
- 労働基準法第六十四条の二、第六十四条の三(女性の危険有害業務の就業制限)を廃止する。
- 女性にきつい仕事に挑戦する覚悟を持たせ、責任ある立場(管理職・政治家)における「責任を取らせられる場面」、修羅場の経験を詰むことを推奨する。
- 我が子のお受験を捨ててでも他人の落ちこぼれの子のために働く、政治家等に必要な滅私奉公マインドを植え付ける。
- 内助の功を得るために、配偶者を主夫すること、配偶者が自分より低所得でも養うことを当たり前と考えるようにする。
といった方策が有効になるだろう。繰り返しになるが、私はジェンダーギャップ指数を改善させるためにこれらの政策を本気で実現すべきと考えており、隙あらば捻じ込んでいく所存である。ジェンダーギャップ指数改善という錦の御旗のもとに考えたアイデアであり、これに反対する人はよほど理論武装をしない限りは女性差別者として糾弾可能である。ジェンダーギャップ指数改善は世論が求めてきたものであり、これを原動力としてこれらの政策を実現させていきたい。
ジェンダーギャップ指数は実質上、政治家にしろ管理職にしろ意思決定の場に女性を増やそうという指標になっている。意思決定を行う女性が増えればより女性視点の決定が増え女性にとって暮らしよくなるはずだ、という考え方が背景にある59。同時に、意思決定をすれば、その結果が出た時に「この結果をどうしてくれるんだ」「決めたのはお前だろう」という責任追及の声が出てくることも覚悟が必要である。意思決定(決めずに放置することも含む)には{決める責任、決めた責任}(accountability)が付きまとい、両者は表裏一体であって切り離すことができない。結果を出すための努力はフィジカル・メンタル両面で負担になることもあろう。ジェンダーギャップ指数を改善するということは「もっと女性に決定責任を負わせ、タフに仕事をさせろ」と言い換えても差支えない。
この状況に対して、ノルウェーの女性団体会長にして左翼政党の女性議員が「生後2年は母親のケアが重要」等の性役割を主張しだしたり、あるいは偉いポジションほど責任が重いという事実を目の当たりにしたフェミニズムから「女性が管理職・役員の時だけ責任を負わせられている気がする」という主張(ガラスの崖)が出てきたりと、{左派のマイノリティ}属性を持った人間がその属性を盾に「女にきつい仕事をさせるな」という主張(従来のフェミニズムの観点からは「バックラッシュ」と言える)を唱えるという倒錯した状況となっている。
しかし、いまさら「ジェンダーギャップ指数を改善するのを諦めました」とは言えないだろう。左翼によるバックラッシュを乗り越え、影響力も決定責任も重い職に女性を増やす、そのために女性にもっと覚悟を持ってらもうことは、我が国・政府は避けて通れない道であるように思う。