赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)脳神経外科に在籍していた40代の男性医師=大阪市=が関わった手術で8件の医療事故が相次いだ問題に絡み、兵庫県警捜査1課などは3日、医療事故に関する報告書に事実と異なる記載をし使用したとして、有印公文書偽造・同行使容疑でこの男性医師と上司だった上級医の50代男性を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。
また、事実と異なるとわかっていたにもかかわらず提出を認めたとして、50代の病院関係者も同日付で同容疑で書類送検した。
書類送検容疑は令和元年10月、靱帯(じんたい)が骨化する難病「後縦靱帯骨化症」を患う70代女性患者への頸椎(けいつい)手術の際に過失により頸髄を損傷させた医療事故の報告書で、執刀していたのは男性医師にもかかわらず上級医が執刀したと偽って記載したなどとしている。
関係者によると、虚偽の内容を記載した報告書は、令和2年4月ごろまでに院内で作成されたとみられる。実際は頸椎手術の執刀は男性医師が担い、上級医は第1助手の役割を務めていたのに、報告書には「損傷を与えた当事者は、上級医であって、男性医師には責任は全くない。(上級医の)手術手技能力の改善が急務である」などと記載していたという。
同課は今年5~7月、この女性患者らに対する業務上過失致傷容疑で男性医師と上級医を書類送検している。
同病院を巡っては、男性医師が令和元年7月に着任して以降、わずか半年間で8件の医療事故が発生。同年9月~2年2月の間に少なくとも8件の手術を担当し、手術後に2人が死亡し、6人に後遺障害が生じた。