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「金ちょうだい」飲み代欲しさに強殺未遂 少年に道を誤らせた母親の「正論コントロール」

教育熱心な家で育ち、幼稚園では英才教育を受けるなど「親の期待に応えて頑張っていた」(母親)。しかし、母親が働きながら大学院に進学し、深夜まで祖母宅に預けられるようになった小学校高学年以降、状況は雪だるま式に悪化する。

家に置いてある現金を盗むようになり、中学生になると不良グループに加わった。手を焼いた両親は少年を児童福祉施設に預けたが、卒業後は別の不良グループを結成してけんかに明け暮れ、一時少年院にも入った。大阪・ミナミで客引きをしていた頃に「半グレ」や暴力団組員と関係を持ち、暴力団抗争に参加したこともあったという。

なぜこうなったのか。日常的に暴力を振るった父親の存在もあるが、少年やその家族と面接を重ね、心理鑑定を行った臨床心理士の証人は「非行の根底には母親に対する悲しみ、うらみ、報復があった」と証言した。中でも母親による「正論コントロール」が与えた影響が大きかったという。

ただ、この臨床心理士によると、子供の非行は親を試すSOSのサインでもある。まずは気持ちに寄り添って話を聴くという向き合い方が望ましいが、それをせず正論で押さえ込んでしまうと、子供は「助けを求めても無駄」「悪いのは自分」と思い込む。被告の場合は、小学生のときに「ものごとを考えるのをやめた」という。

もちろん母親の行動は、子供を立派に育てたいという気持ちの表れだった。非行に悩んだ母親は子供との接し方を学び、事件前にも建設業で働く少年に毎日のように連絡し、褒め、励ますなどして支えていた。

しかし、結果的に事件の引き金となったのは、やはり「正論」を伝えた母親のLINE(ライン)のメッセージ。手元の金を使い切り、4日間ほぼ水だけで過ごした少年は、友人との飲み会だけは行こうと、給料を管理する母親に「働いた金を渡して」と頼んだ。

母親は浪費を懸念し「現実を見つめて。遊びたいのは分かるけど、もう大人なんやで」などと突っぱねた。その後事件は起きた。

MEMO: