インターネット上に公開された漫画『脳外科医竹田くん』の作者である男性が、登場人物のモデルである医師に対して、この漫画に関して、名誉毀損を理由とする損害賠償の債務が存在しないことの確認を求めて大阪地裁に裁判を起こした。
男性が3月11日、大阪市内で記者会見を開いて明らかにした。提訴は3月5日付。
『竹田くん』のモデルとなった医師は、漫画の内容が名誉毀損にあたるとして、発信者情報開示の手続きをすすめ、東京地裁がプロバイダに作者の住所と氏名の開示を命じていた。
一方、医師は昨年12月、兵庫県の赤穂市民病院で2020年に女性患者の神経を誤って切断して後遺障害を負わせたとして、業務上過失傷害の疑いで神戸地検姫路支部に在宅起訴された。
こうした状況の下、『竹田くん』の作者である兵庫県在住の男性は今年2月、自らがこの女性患者の親族であることを明かしていた。
男性は記者会見で、改めて自身が作者であるとしたうえで「今後、一連の医療事故に関わった医師から、漫画の表現について刑事告訴や訴訟提起がおこなわれることがあったとしても、堂々と公益性を主張し、粛々と対応してまいりたいと考えています」と語った。
原告代理人をつとめる平野敬弁護士によると、開示の手続きにおいて、医師は、不法行為に基づく損害賠償請求をする考えを示したという。また、SNSには「脳外科医 竹田くんのモデル」と称するアカウントが、漫画の発信元について刑事告訴も検討しているとの考えを公表した。
平野弁護士によると、このアカウントが医師によるものだと判明していないが、当事者しか知りえない情報を発信しているという。活発な発信活動に合わせてフォロワーが集まっていることもあり、「漫画をウソだ」と広められるおそれを懸念したという。
医師がいつ損害賠償請求に動くかわからない状態にあり、「地位が不安定」な状況にあったことから、「開示されて3年間、怯え続けなければいけない。先手を打って心身の安定をはかりたい」という考えからも、今回の提訴に至ったとしている。
実際のところ、医師からは、まだ民事・刑事で法的措置をとられていないが、作者側としては先んじて、漫画には違法性がないことを確認しようとするのが今回の裁判の狙いだ。