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「ケーキ切れなそう」が悪口になっている今、『ケーキの切れない非行少年たち』著者が知っておいてほしいこと

問題なのは、このような切り方をしているのが強盗、強姦、殺人事件など凶悪犯罪を起こしている中学生・高校生の年齢の非行少年たちだ、ということです。彼らに、非行の反省や被害者の気持ちを考えさせるような従来の矯正教育を行っても、殆ど右から左へと抜けていくのも容易に想像できます。犯罪への反省以前の問題なのです。またこういったケーキの切り方しか出来ない少年たちが、これまでどれだけ多くの挫折を経験してきたことか、そしてこの社会がどれだけ生きにくかったことかも分かるのです」

読めば分かる通り、宮口氏は彼ら少年たちを否定するためにこうした事実を明らかにしているのではない。

その存在を認めたうえで、彼らに合った支援をすること、そうした支援への理解を求めるためである。それは決して彼らを甘やかすことではなく、社会全体の利益になるのは言うまでもない。

「ケーキ切れなそう」がスラングとして流通していることについて、改めて宮口氏の見解を聞いてみた。

「ケーキの切れない非行少年たちとは、すなわち知的障害や境界知能といった問題を抱えている少年のことです。そうした子どもがかなりの数いることが広まることは、悪いことだとは思いません。   ただ、それを知った方には、バカにしたり、敬遠するのではなく、彼らを社会としてどのように受け止め、支援するのかといった視点を抱いていただきたいと思います。

軽度の知的障害を抱えている人は決して少数ではありません。人口の14%がそれに近いというデータもあるほどです。

誰にとっても他人事ではない、ということもぜひ知っておいていただきたい点です」

MEMO: