学歴詐称の疑いが指摘されている静岡県伊東市の田久保真紀市長は、31日夜に記者会見を開き、「改革の道はまだ始まったばかりだ」などと述べ、当初、速やかに市長を辞職するとしていた意向を事実上撤回し、市長の職にとどまる考えを明らかにしました。
学歴詐称の疑いが指摘されている田久保市長をめぐっては、7月7日の市議会で辞職勧告の決議案が全会一致で可決され、これまで速やかに市長を辞職し、市長選挙にあらためて立候補する考えを本人が示していました。
しかし、市内で開いた記者会見で田久保市長は、辞職の意向を事実上撤回し、市長の職にとどまる考えを明らかにしました。
市長は会見で、「発言が二転三転したことは申し訳なく感じている」としたうえで、「市民の皆さんが勝ち取った改革の道筋の過程であり、山積する問題への改革の道はまだ始まったばかりだ。大切なことを改めて市民の皆さまの声で強く思い出させていただいた」などと述べました。
学歴詐称の疑いについて市長はこれまで「除籍だと確認するまで卒業したと考えていた」などと説明し、市議会の百条委員会から求められた「卒業証書」とされる書類の提出や、証人尋問への出頭はいずれも拒否しています。
会見で「警察から卒業証書の提出を求められた場合は応じるのか」と問われたのに対し、同席した代理人弁護士は「捜査がどう進展するかわからないので明確なことは申し上げづらいが、刑事訴訟法にしたがって、卒業証書の押収は拒絶する方向になると考えている」と述べました。
また30日、伊東市に津波注意報が発表されていたさなかに会見の場所を変更し、市役所ではなく、海に近い会場としたことを問われ、「津波警報が注意報に変更され、その時点で会場が使えることが判明したため報道関係者に案内した。津波警報が解除されていなければ、会見の延期を考慮すべきだと考えていた」と述べました。
百条委員会は今後、市長に証人尋問への出頭を再び求め、応じない場合には刑事告発を検討していることを明らかにしています。