■ 「電子コミック市場崩壊の危機」に関する要約
この記事は、日本電子出版協会(JEPA)のキーパーソン・メッセージとして、パピレスの天谷幹夫氏が執筆した「電子コミック市場崩壊の危機」について述べています。
■ 市場の現状と乖離
- 市場調査結果と実際の売上の乖離: 出版科学研究所やインプレス総研の調査では電子コミック市場は拡大しているとされているが、上場している電子書店や取次会社の売上は横ばいか下降傾向にある。
■ 乖離の原因
- 無料施策とポイント還元: 電子書店が顧客獲得のために多額の販促費を投じている。
- 実質的な売上の減少: 無料施策により、市場の見かけ上の流通総額は増加しているが、ユーザーが自己負担なくコミックを読んでいるため、上場企業の会計基準では売上として計上されず、実質的な売上は減少している。
- 無料ユーザーの増加: 過当競争の結果、無料の電子書籍のみを利用するユーザーが増加し、有料ユーザーの比率が低下。
■ 危機感と提言
- 日本の音楽市場との類似: この状況が日本の音楽市場の衰退と類似しており、コミック出版社や著者の収入減少、ひいては若手作家の減少につながるという危機感を示唆。
- 市場崩壊を防ぐための提言: 出版社や著者が無制限な無料施策への許諾を控えることが、市場の崩壊を防ぐ最も効果的な方法であると提言。