■ 1. 石破政権の現状と支持率動向
- 支持率の上昇: 石破政権の支持率は徐々に上昇しており、不支持率が50%を下回る傾向にある。政権支持率と自民党支持率の合計(青木率)も安定圏に戻りつつある。
- 国民の意識の変化: 参議院選挙の結果から、有権者が石破氏と自民党を分けて考える傾向が見られる。選挙敗北を「自民党の負け」と捉える人が増えている。
- 総裁選の動向: 沢田千郎氏の判断により、総裁選を前倒しで下ろそうとした議員や都道府県代表が、その名を公表せざるを得なくなり、次の政権で批判される可能性を懸念して消極的になった。
- 閣僚人事の難航: 次期内閣改造において、政権の不人気や短期政権となる可能性から、閣僚になりたがる者が少なく、人事が難航している。
■ 2. 自民党の支持層の変化
- 支持層の流動化:
- 従来の自民党支持者(保守層)の一部は他党に流出し、代わりに生活保守的な人々、特にリベラル層や高齢者が自民党を支持する動きが見られる。
- 労働者層、特に若年層は自民党から離反し、参政党や国民民主党などを支持する傾向にある。
- 石破氏への支持:
- 石破氏の支持者には、必ずしも自民党に投票しない層(例:立憲民主党や共産党の支持者)が多く含まれている。
- 彼らは、石破氏が「社会保障を守ってくれる」リベラル的な政策をとることを期待し、消極的に支持している。
- 「高齢者の政党」化:
- 50代以上の女性を中心に、生活防衛の観点から、現状の社会保障制度を維持してくれると期待できる石破政権を支持する人が多い。
- 一方で、労働者層や子育て世代は、外国人問題や社会保険料などに対する明確な解決策が示されないことに不満を感じている。
■ 3. 政権運営の課題と今後の展望
- 政治と金の問題:
- 政治と金の問題は世論調査での優先順位は高くないものの、個別の投票行動に大きな影響を与えている。
- この問題への不信感が、自民党の支持離れや公明党の選挙苦戦の主要因となっている。
- リーダーシップの課題:
- 石破氏のリーダーシップは「原理原則」を重視するものであり、国民が求める「生活がどう良くなるか」という明確なビジョンを示すことが苦手である。
- かつて安倍政権は「一億総活躍社会」や「日本を取り戻す」といった未来のビジョンを掲げ、若者を含む幅広い層からの支持を得た。
- 結論:
- 石破政権は大きな落ち度はないが、明確なビジョンを示せない点が課題である。
- 自民党は、高齢者層に偏った支持構造を立て直し、政治と金の問題に真摯に向き合う必要がある。
- 少数与党として、国民が夢を持てるような分かりやすい未来像を示すことが、安定した政権運営につながる。