かれこれ数年間浸かっていた風俗業界を辞めた。
私が風俗に足を踏み入れたのは学生の時だった。学費を払うために手っ取り早く稼ぐ方法を考えた時に、パッと思いついたのが風俗。
夜になると家からこっそり抜け出して、デリヘルの送迎車に乗り込む生活を送った。
学生、そして若いというだけでどうにか得たお客様の中には、1日に何時間も買い取ってくれる人もいた。お金は確かに稼げたけど、数ヶ月してメンタルの限界が来て、お店の人に「辞めます」と伝えた。その時オーナーに「一度風俗業界で稼いだ子はいつかまた戻ってくるんだからw」と言われたことを強く覚えている。
その言葉通り、数年後私はまた風俗業界に戻ってきた。上京して、浮き足だった私は気付けば多額の借金を抱えてしまっていた。
オーナーに言われた言葉も少なからず影響していた。「風俗に戻るくらいなら借金した方が良い」と謎の思考をしていたのだ。
抱えた借金を返済するために選んだのは、ソープランド。デリヘルで本番を迫ってくる客を断るのに疲れていたから、いっそそれを断らなくて良い場所で働きたいと思って選んだ場所だった。
ソープを始めてからは、結構本気で天職だと思っていた。
写メを撮るのも得意だったし、文章もそこそこ書けたからだろうか、ある程度長く通ってくださるお客様に恵まれた。そもそも性に奔放だったこともあって、初めましての人と交わることもそこまで苦ではなかった。一生ソープ嬢として働くのもいいなと思うほど、私は恵まれていた。
一時期は講習にも通って、接客の技術を磨くことにも夢中になった。出会った同業の女の子も優しい人ばかりで楽しかった。それに何か1つできるようになれば、お客様が喜んでくれる、気持ち良いと笑顔で帰ってくれる。そんな瞬間に喜びを覚えて、更にソープの仕事に精を出す日々が続いた。
おかげさまで数年かけて借金を返すことができた。しかしながら、借金完済とともに目標を失った私は急速にソープの仕事へのやる気をなくしてしまう。
人の前で脱ぎたくない、笑いたくない。エロ好きキャラでやってたけど、エロが好き!と言うことすら苦しくなっていた。あんなに更新していた日記もパタリと更新しなくなった。その時に私は、風俗嬢である自分を捨てたくなっていることに気づいた。
そして、数ヶ月悩んだ末にソープを辞めた。ちゃんと飛ばずに、辞めることを宣言して、お客様ともしっかり最後まで向き合った。だからだろうか、今は無性にすっきりとした気持ちだ。
お客様のことは大切だったけど、正直もう連絡をとらなくていいとか、休みを削って会わなくていいとか、そもそも抱かれなくていいというのは心の安寧に繋がっている。
今は昼職で細々と暮らしている。毎月決まった額のお給料が入ってくる生活は、意外と悪くない。
それに好きな人もできた。お相手は至って普通の男の人。もちろん私が風俗嬢だったことは知らない。わがままだけど、知らないでいてほしい。
風俗やら夜の世界にどっぷり浸かっていた私が、今はいわゆる「普通の生活」をしている。あの頃から考えたら信じられないようなことだ。
こんな日記を書いたら「売春婦が何を言っているんだ」と言いたい人もいらっしゃるんだろうなと思うけど、まあ仕方ない。そういう道を選んだのは私だ。
それでもこの日記を書いたのはこれまでの自分にお疲れ様を言ってあげたくなったのと、業界を卒業したい女の子に少しでも希望を持ってほしいから。業界を卒業した女の子の声って意外と聞こえてこなかったりするから、普通に卒業した人間の声を残しておこうと思ったんだ。
業界を卒業したい女の子。
なんとなくでも、このままじゃ嫌だと思っているんだったら、それが好機かもしれない。別に風俗が悪いわけじゃないんだ。私も借金完済できたのは風俗のおかげだし、スタッフさんにもよくしてもらったし。でも普通の生活が欲しかった。人前で脱がず、エロでニコニコする必要もなく、普通に働きたかったし、普通に恋愛とか結婚もしたかった。
だから私は風俗を辞めた。だからあなたもそれを選んでいいんだよ。
あと夜の世界は変な人もいるし、何より夜の世界の男は大体助けてくれません。笑 自分を助けられるのは自分だけだと思う。
だから少しでも風俗を卒業したいと思っている子がいて、この文章を読んでくれた子がいたなら、ぜひ一度前向きに卒業を考えてほしいと思う。
こんな日記を読んでくれてありがとう。
ここまで読んでくれたあなたに、何か幸せなことが訪れますように。