■ 1. 日本の働き方の現状と課題
- 生産性の低さ: 日本の労働生産性は先進国の中でほぼ最下位であり、働くほど幸福度が低下する傾向にある。
- 非効率な慣習:
- 意思決定の遅さ: 「前例がないからやらない」「上司の承認に時間がかかる」といった理由で、意思決定が停滞している。紙の稟議書に複数の判子が必要な文化がその象徴である。
- 無駄な会議: 発言者が少なく、結論が出ないまま次回に持ち越される会議が常態化している。これは「集団惰性の儀式」であり、時間の浪費である。
- 属人化: マニュアルが更新されず、「見て盗め」という文化が根付いているため、新人が育たず、優秀な人材も腐敗する。
- DXの遅れ: デジタル化が進まず、表面的にシステムを導入しても、裏ではエクセルや紙の運用が残っている。
■ 2. アメリカの働き方との比較
- 意思決定の速さ:
- アメリカでは、提案に対して「売上は何%上がるか」「責任は誰が取るか」といった具体的な質問で、即座に結論を出す。
- 会議は15分で終わり、意思決定に必要な権限を持つ者だけが参加し、その場で全てを決定する。
- 標準化と合理化:
- システム導入では、現場がシステムに合わせるのが常識である。
- 日本のように現場の意見を聞きすぎてカスタマイズを繰り返すことは、コスト増とブラックボックス化を招き、国際競争力を失う原因となる。
- 成果主義:
- 評価は、個人の努力ではなく、数値と成果に基づいている。
- 残業は能力不足の証明と見なされる。
- 昇給や昇進には、自ら交渉することが一般的である。
- 情報の透明性:
- SlackやNotionなどのツールを使って情報が共有され、誰がいつ何をしたかが明確に記録される。
- 紙の議事録は過去の遺物と見なされる。
■ 3. 改革と抵抗勢力
- 改革者の視点: 日本の非効率な働き方は、個人の努力の問題ではなく、組織の構造的な問題である。
- 外部からの改革: 内部の人間はしがらみや現状維持の安楽さに囚われているため、改革は外部の人間(コンサルタントなど)によってもたらされる必要がある。
- 抵抗勢力の主張:
- 伝統や丁寧さを重んじ、変化を拒む。「紙と判子と忖度」を美徳とする。
- 改革を提案する若者に対し、「生意気」「空気が読めない」と非難する。
- 苦情を言う現場に忖度し、非効率なシステムを維持する。
- 変化を恐れるあまり、住宅ローンなどを言い訳に現状維持を選択する。
- 市場原理の力: 人材が非効率な企業から流出し、50代以上の社員だけが残る状況になれば、企業は変わらざるを得ない。
■ 4. 結び
- 変化の必要性: 丁寧さや現状維持を盾に変化から逃げてきた日本企業は、このままでは生き残れない。
- 勇気ある行動: 一人の勇気ある行動が、やがて組織を変える大きな波となりうる。
- 個人の選択: 個人が非効率な環境から自ら抜け出すこと(転職)が、企業や社会全体を変えることにつながる。