■ 1. 職場における分断の現状
- 世代間コミュニケーションの分断: 企業の職場で世代間のコミュニケーション分断が進行している。
- ベテラン世代: ハラスメントを恐れ、若手への積極的な関わりを避ける傾向がある。若手の価値観を理解できず、「何を話していいかわからない」と感じている。
- 若手世代: 昔ながらの組織文化に違和感を抱き、声を上げても無駄だと考え、静かに離職することがある。
- ミドル世代: 上下の世代の気持ちを理解できる立場にいるが、どちらとも本音で語り合うコミュニケーションの構築に苦戦している。
■ 2. 分断の背景
- 伝統的な組織文化(T規範): 日本企業の組織文化は、戦後の高度成長期に形成された「JTCらしさ」を支える規範に根ざしている。
- 特徴:
- 同質性・協調性の重視
- 上下関係や序列の重視
- 合意主義・全員賛成主義
- 家族主義的な人間関係
- 個人より集団の優先
■ 3. 社員の3つのタイプ
- 埋没タイプ:
- 特徴: T規範に完全に同化している。自分の価値観を客観的に認識することが困難で、異なる価値観を「おかしい」「間違っている」と感じやすい。
- 世代: 昭和中期までに生まれた人に多いが、年代と必ずしも一致するわけではない。
- 悩み: T規範という「心のよりどころ」を失うと、自信や安定を失うことがある。
- 半身タイプ:
- 特徴: T規範を一部受け入れ、一部に反発する。上の世代への対抗心からアイデンティティを形成するが、下の世代を無意識にT規範の立場で批判することもある。
- 世代: 昭和後期から平成初期生まれに多い。
- 悩み: 上下の両世代の気持ちがわかる一方で、どちらからも中途半端に見られがちである。
- 孤別タイプ:
- 特徴: T規範から心理的に遠く、接点がない。会社や人間関係を代替可能なものと考える傾向がある。
- 世代: 平成中期以降生まれに多い。
- 悩み: 独力でアイデンティティを探索する必要があるため、「実存的不安」を抱えている。
■ 4. 分断を和らげる4つのステップ
- 決めつけない: 相手の価値観を「間違っている」「悪い」と決めつけず、多様性として受け入れる寛容さが必要である。
- 理解しようとする: 異なる価値観が形成された背景には、それぞれの合理的な理由があることを理解する必要がある。
- フラットな関係を目指す: 役職の上下に関わらず、本音の対話ができるランクフリーな関係を構築することが重要である。
- 小さなアクションを継続する: 相互理解は一朝一夕では達成できない。日々の小さなアクションを継続し、少しずつ距離を縮めていくことが近道である。