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日本女性学会への声明の背景に対する説明とガバナンスの機能不全について

要約:

■ 1. 経緯の概要

  • 発端: 2024年6月の学会大会総会後、ある分科会における発言内容について「差別」との批判が寄せられた。
  • 調査の実施: 22期・23期合同幹事会は外部委員を含む調査ワーキンググループ(WG)を設置し、約半年間の調査を行った。
  • 調査報告書の公開: 2025年2月、調査報告書が承認・公開された。報告書は、分科会の内容は「差別」に当たらないと結論付けたが、幹事会の対応には不備があったと認めた。
  • 新たな「声明」: 2025年4月、幹事会の手続きを経ずに、一部の幹事経験者・現職幹事有志により、調査報告書を批判する内容の「声明」が発表され、署名運動が開始された。
  • 代表幹事の辞任: 元代表幹事の佐藤文香氏は、この事態を「ガバナンス不全」と判断し、職責を全うできないとして辞任した。

■ 2. 論点:声明の内容と問題点

  • 声明の性質: 声明は学会の正式な決定ではなく、一部の有志によるものである。しかし、学会の公式メーリングリストが使用されたため、学会の総意と誤解される可能性があった。
  • 調査報告書との矛盾: 声明は、調査報告書が「差別ではない」と結論付けた分科会の内容を「トランスジェンダーへの差別や攻撃に満ちたもの」と断定している。これは、調査報告書を事実上否定する行為である。
  • 議論の回避: 声明の呼びかけ人は、自身が作成に関わった調査報告書の内容に納得できないからといって、幹事会での再議論を尽くすことなく、外部の署名という「数の圧力」で意見を通そうとした。
  • 踏み絵的な側面: 声明に賛同しない者が「多様性や人権を尊重しない人物」であるかのように見なされる雰囲気が生まれた。
  • 自由な議論の阻害: 幹事会内部の議論内容が外部に漏洩し、特定の意見が「差別」と糾弾されることを恐れて、自由に発言できない雰囲気が醸成された。

■ 3. 幹事会のガバナンス不全

  • 誠実さの欠如: 自身が関わった調査報告書を外部の署名によって批判させる行為は誠実とは言えない。
  • 話し合いの放棄: 幹事会での合意形成の努力を放棄し、外部からの圧力によって運営方針を左右しようとした。
  • 組織の変質: 今後、同様の事態が起こるたびに、数の力によって運営が左右される組織になる可能性がある。

■ 4. 今後の展望と呼びかけ

  • 総会への参加: この事態に危機感を覚える会員は、2025年6月8日に開催される大会総会に出席し、学会の未来のために意思表示を行うべきである。
  • 誠実な議論の重要性: 学会が健全な議論の場として機能するためには、互いを尊重し、合意形成のための真摯な話し合いが不可欠である。