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人々が知性を捨て、陰謀論を掲げる男を選び始めた理由

要約:

■ 1. 自民党政権の問題点

  • 政治資金パーティー裏金問題: 党内の調査は全く進まず国民への説明責任が問われている
  • 旧統一協会との癒着: 関係を断つとの説明とは裏腹に未だ関連団体との接点が指摘されている
  • 岸田首相長男の公邸私物化: 首相秘書官という公的立場にありながら公邸を私物化し忘年会を開いた問題で身内への甘さが批判された
  • 実質賃金の連続マイナス: 記録的な物価高で国民生活が圧迫される中、実質賃金は20ヶ月以上連続でマイナスを記録し、政府の経済対策の効果は限定的である
  • 少子化対策の財源問題: 異次元の少子化対策として社会保険料への上乗せが検討され、現役世代から事実上の増税だとの反発が強まっている
  • マイナンバーカード問題: 他人の情報が紐付けられるなどのトラブルが続出している
  • 中国の水産物輸入停止: 政府の対応が数ヶ月にわたり遅れている

■ 2. 既存野党の機能不全

  • 投票先の不在: 消去法で自民党に投票してきたが本当に投票したい政党がない状況である
  • 立憲民主党への不信: 過去の政権運営に対する悪夢が蘇るという評価がある
  • 野党全体の受け皿機能の喪失: 自民はダメだが立憲や維新もイヤと考えた有権者の怒りや失望の受け皿として完全に機能不全に陥っている

■ 3. 参政党の戦略

  • 二面性のある主張:
    • ソフトなテーマとして無農薬給食の推進や食品添加物の危険性を訴え、健康志向の主婦や政治に関心が薄かった層にアピールしている
    • ハードなナショナリズムとして自主憲法制定や外国人規制の強化を掲げ、保守層の支持も狙っている
  • マーケティング戦略: 演説の中で国民が求める政策を探し出してそれを売るという、従来の政党とは異なる事業者のマーケティング戦略に近い手法を採用している
  • テストマーケティング手法: それぞれのターゲット層に刺さりそうな政策を連発し、有権者の心に刺さったものはそのまま推進し、そうでなければ即座に撤回することでダメージを最小限に抑えている

■ 4. 独自の広報戦略

  • SNSの徹底活用: 既存メディアにほとんど登場せずYouTubeやTikTokを徹底的に活用することで短期間で大きく支持を広げることに成功した
  • 若年層へのリーチ: 特にTikTokの活用でこれまで政治に関心のなかった若年層にまでリーチを広げることに成功した
  • 表と裏の使い分け: 大衆向けの場では誰もが反対しにくい穏健な政策をアピールするが、党員向けの勉強会ではディープステートやワクチンは危険といった過激なワードが飛び交っている
  • 小規模集会の活用: 全国各地で小規模集会を開催し、集団心理やエコーチェンバー現象を利用して最も合理的に信者を量産している
  • 結束の強化: 極端なメッセージで我々だけが真実を知り世の中と戦っているという分かりやすい対立構造を作り、一体感と使命感を生み出している

■ 5. 陰謀論の問題点

  • 情報源の不確実性: 一次ソースや具体的な根拠が不明確なまま拡散されている
  • 選択的な情報利用: 科学技術の恩恵は享受しながら都合の悪い部分だけを切り取って日本は危険だと騒ぎ立てている
  • 知的優越感の提供: 普段無能扱いされている人にとって世界の真実を手に入れたという感覚は知的にマウントを取れる側に回る快感を生む
  • 非科学的主張の受容: 科学が日々進歩しているのに受けているのは非科学的な主張という矛盾が生じている

■ 6. 参政党支持の背景

  • 正しさへの疲弊: 高学歴で科学的で合理的なインテリに政治を任せた結果が30年続く停滞である
  • 現状への不満: 高すぎる社会保険料、効果の薄い少子化対策、長期にわたる息苦しい配慮を求められる社会に対する不満がある
  • 分かりやすい敵の提示: グローバリストやディープステートなど分かりやすい敵を決めて単純な言葉遣いで怒りながら日本人を守ってくれるという主張が最高のエンターテイメントとなっている
  • 既存政党への不信: 与党のトップが公約をそのままやることはないと開き直る国なので、参政党が多少嘘をついても誰も驚かない

■ 7. 2025年参議院選挙の結果

  • 歴史的な与党敗北: 与党は過半数を失い、自民党は血盟以来初めて少数与党に転落した
  • 参政党の大躍進: 前回わずか1議席だったところから一挙に14議席を獲得し、日本維新の会や公明党を上回る結果となった
  • 若者からの支持: 各種調査によれば参政党は国民民主党と共に10代から30代の支持で他を圧倒している
  • 学歴・所得との無関係: 公約に穴が多いと言われている参政党だが、学歴や所得は参政党支持とあまり関係がないという結果が出ている
  • 不満の受け皿機能: 自民はダメだが立憲や維新もイヤと考えた有権者の怒りや失望を参政党と国民民主党がごっそりと吸収した

■ 8. 世界的な類似現象

  • イタリアの事例: 長引く経済停滞への不満から反ワクチンなど非科学的な主張を掲げるポピュリスト政党・五つ星運動が最も多くの議席を獲得したことがある
  • ドイツとオランダの事例: ドイツのAfDやオランダのPVVなど反移民、反エリート、反EUを掲げる政党が得票率を高めている
  • 共通点: 長期安定政権による経済の停滞の後に台頭したという点で共通している
  • 継続的な勢力拡大: 急伸した新興勢力が政治地図を塗り替えた例もあり、参政党も今後どこへ向かうのか注目が集まっている