■ 1. 選挙における自民党の課題
- 投票日当日の心変わり: 3回の選挙(都議選含む)で事前の世論調査では負けるはずがない数字だったが、投票所で考え直して野党に投票する有権者が続出している
- 世論調査と実際の乖離: 参議院選挙では世論調査で自民党支持と答えることが恥ずかしいという心理が働き、実際の投票では世論調査より良い結果(マイナス3議席)が出た
- 開票速報の変化: 10時半から11時頃にテロップが「微妙」に変わり、世論調査と実際の投票行動の差が顕在化した
- 政権交代期との比較: 2006年から自民党3年で3人、民主党3年で3人と計6年で6人の首相が交代した時代があり、どこかで踏みとどまらなければならない
■ 2. メディア環境の変化
- SNSの影響力増大: テレビ・新聞・ラジオといったオールドメディアを見て投票を決める人の割合が減少し、SNSを主に見る層(特に若者)が増加している
- 世代別メディア消費: 親の世代はテレビと新聞だが、子供の世代はそれらを見ておらず、選挙結果のマクロの数字にも明確に表れている
- 野党時代の優位性喪失: 野党時代は自民党がネット対応で最先端だったが(東京本部でニコ動12時間ライブなど)、与党になって忙しくなり気づいたらネット対応で他党に抜かれていた
- 若者支持の流出: 世代別支持率を見ると若者が他党にシフトしており、自民党の若者支持が減少している
■ 3. 情報発信の課題
- PDFファイル問題: 自民党の政策がPDFファイルになっており、霞ヶ関文学のような表現でAIが学習できない状態である
- AIの非対応: PDFだとAIが咀嚼できず、誰かがチャットGPTで聞いた時にも情報が出てこない
- 税調議論の不可視化: 自民党税調の議論がAIに届いておらず、PDFにすらなっていない可能性がある
- 党改革の必要性: 公約で党改革の中に候補と政調会・総務会の緊密化をデイリーで行うこと、候補にDX人材を入れることを盛り込んだ
- デジタル生声の活用: Xなどのプラットフォームを使ってオンタイムで政策を発信し、デジタル生声とでも言うべきものを展開する必要がある
■ 4. 内閣運営の特徴と課題
- 岸田政権と石破政権の違い: 岸田政権を大企業とすれば石破政権はベンチャーであり、岸田政権はルーティーンできちんと上げていく蓄積型、石破政権はパッションと正しいことだからという信念型である
- 小さな失敗: 小さな間違いはやっても大きな間違いはしないという安心感があったが、それが届かなかった可能性がある
- 情報コントロール: 総理が土曜日の夕方にちらっと何か思っても日曜日の朝には考えを変えるようなタイプであり、情報管理面での特徴がある
■ 5. 経済政策の評価
- 2万円給付金の失敗: 金額が小さくケチだという印象を与え、小さな失敗だったと評価される
- 4万円減税の中止: 岸田政権の4万円低額減税を1年でやめてしまったが、もう1年継続していれば米値上がり分をカバーできた可能性がある
- 給付税額控除方式の複雑さ:
- 12月に先に給付が支給され、6月に所得減税が実施される方式だった
- 所得税を払っていない低所得者に配慮した設計だったが、6月の減税時に「なぜ自分たちには給付がないのか」という不満が生じた
- 会社側も手続きが面倒だと経理担当者から不満が出た
- 支持率回復の失敗: ある程度支持率が戻すという効果がなく、世の中的にあまり評価されなかった
■ 6. 危機管理の経験
- ミスター119の由来: 誕生日が1月19日であることと、農水大臣、経済財政担当大臣、文科大臣など危機的状況でのリリーフ登板が多かったことから名付けられた
- リリーフ登板の経緯:
- 農水大臣は西川氏が衆議院予算委員会中に突如辞任し、1年も間が空いていない状況で急遽指名された
- 経済財政担当大臣は中川大臣が体調不良で辞任し、与謝野大臣が財務大臣と兼務していた際に起用された
- 文科大臣は森友学園問題を抱えていた時期の就任だった
- 危機管理の教訓:
- 0対0の1回表からではなく、負けが込んでランナーが溜まった状況でのリリーフが多かった
- 余計なことを言わないことが非常に大事だと学んだ
- バック・ザ・ベーシックで「そもそも何なのか」と経緯を解きほぐすことが重要である
- 苦しい時は余計なことを言ってしまうが、経験を積むとここで言うとこうなるというのが見えるようになる