■ 1. 政策の絶対音感と危機管理
- 政策の絶対音感: 中心となる線があり、そこからどれぐらい幅を作っていいのかという軸を30年の経験で体感的に理解している
- 名ファインプレイなしの哲学: 難しいボールを普通にさばく名手のように、先回りして予測することでファインプレイを不要にする
- リスク管理の重要性: 与党で政策を実行する立場では、リスクを取って失敗した場合のコストは最終的に国民に及ぶため、安全にも安全を重ねることが重要である
- 危機対応の経験: ミスター119として農水大臣、経済財政担当大臣、文科大臣など危機的状況でのリリーフ登板を経験した
- 余計なことを言わない: 0対0の1回表からではなく負けが込んだ状況でのリリーフでは、余計なことを言わないことが非常に大事である
■ 2. 実質賃金向上のための成長戦略
- 1%の実質賃金上昇目標: 1丁目1番地として実質賃金を1%上げることを掲げている
- 日米の賃金格差: 過去20年間で毎年1.5%ポイントずつ日本の実質賃金が低く、その差の内訳は労働生産性の差が0.7%、労働時間減少が0.5%、交易条件が0.5%である
- GX(グリーントランスフォーメーション)への期待:
- 従来は地球温暖化対策として我慢や節約が求められ経済にマイナスだったが、CO2が出ない新技術へのシフトが新しいビジネスチャンスになる
- 日本が優位性を持つ分野であり非常に有望である
- 官民協調でGX移行債20兆円分の枠を確保し、ガソリンスタンドを水素ステーションに変えるなど大規模システム変革を推進する
- コンテンツ産業の強化: 輸出外貨獲得高で半導体を超え、原作の強みやキャラクターデザイン力など世界に優れたものを持っている
■ 3. 中小企業と地方経済の活性化
- バリューチェーンの構築: 中小規模事業者に負担をかけるのではなく、きちんとしたバリューでバリューチェーンが繋がることが重要である
- グローバルニッチトップ企業: 住田でしか作れないオーリングを作る工場や、カニカマ機械で世界シェア8割9割という地元企業を中心にネットワークを構築する
- 起業支援の強化: 新しいものをやる地方での起業の仕組みをもっと後押しする
- M&Aの促進: 事業承継プラスM&Aで規模の力を発揮できるようにし、賃金が高い方に収斂させる
- 総合的アプローチ: 1回1個やればできるというものはなく、総合的に成長戦略をしっかりやることが大事である
■ 4. 物価対策と農業政策
- 労働分配率の誤解: 財務省統計では労働分配率が下がって見えるが、GDP統計では下がっておらず諸外国と比べても真ん中程度である
- 実質賃金上昇のメカニズム: 過去のデータでは物価が上がってそれを名目賃金が追い抜いて実質賃金が上がったことは1度もなく、物価がピークアウトしてから5四半期から10四半期後に賃金が追いつく
- 米価格上昇の構造的要因:
- 南海トラフ注意情報をきっかけに備蓄需要が増加した
- 温暖化により米粒が小さくなり、精米時の歩留まりが悪化している(100俵のつもりが80俵しかない)
- インバウンド増加による需要増加
- 米の多様化:
- 備蓄米を2kgで販売するなど消費者の需要に対応している
- 昔のブレンド米(バルクライス)から各農家のブランド米重視に変化した
- ブランド米と一般米で価格の幅がある状況が今後の姿である
■ 5. 日本版ユニバーサルクレジット
- 統合給付の概念: イギリスのユニバーサルクレジットを参考に、子供手当て・住宅手当てなど様々な条件がある給付を1つにまとめる
- 家計簿の感覚での政策設計: 同じ収入・税金・保険料でも子育てで負担が増えているところはより苦しいという実態を把握する
- 集中的支援: 最も厳しい低所得層に集中的に支援することで、その状況をやり抜くことができるようにする
- 実施ステップ: どういう世帯がいるかの把握、どういう給付をするか、実施していくという段階を踏む
- 欧州の先行事例: ヨーロッパ諸国は既にこの仕組みを実施している
■ 6. 格差問題とポピュリズムの防止
- 日本の格差拡大: G7の中でアメリカとイギリスの次に格差が大きくなっている
- 生活保護手前層の負担: 生活保護のちょうど手前ぐらいの層が非常に負担感が重く、貧困が出ている
- ポピュリズムの悪循環: 格差→ポピュリズム拡大→無駄な財政支出→経済悪化→格差拡大という悪循環に入るリスクがある
- ポピュリズム政権の影響: 1900年以降60カ国で51個のポピュリズム政権が認定されており、平均15年間で1人当たりGDPが10%下がっている
- 格差の固定化防止: 住民税がかかり始めるところから世帯で所得税がかかり始めるところまでの層で、若い方が子育てに入ると役が3つ重なるような状況になる
- ジャンプボード政策: その層を少し後押しし、なんとか頑張って抜けていけるようにして分厚い中間層を取り戻す
■ 7. 選挙制度改革
- 比例代表制の検討: 小選挙区制を30年やってみた結果、日本の社会が2つの塊で2大政党制が機能する社会なのか見直しが必要である
- 小選挙区制の限界:
- 政権交代は細川政権が中選挙区制で起きており、小選挙区制の必須条件ではない
- 政治とカネの問題は小選挙区制になっても30年近く経つが解決していない
- 価値観の多様化: 冷戦が終わり体制選択ではなくなり、価値観が多様化している現代では比例代表制が時代に合う
- 野党連携への配慮: 選挙区の調整が比較的楽になり、野党と連携する時にも有効である
- 議論の開始: 誰かがどこかで定義し提案しないと議論が始まらないという観点から提案した
■ 8. 保守の本質
- 保守は姿勢: 保守というのは特定のイデオロギーではなく姿勢である
- 不易流行の概念: 財の名が「不易流行」であり、不易(変わらないもの・変わってはいけないもの)と流行(変わるべきもの・変わっていくもの)を見分けることが保守の神髄である
- 何を守り何を変えるか: 時代によって変わっていくものと時代が変わっても絶対に守らなきゃいけないものを見極める判断が重要である
- 秩序の中に進歩: 自民党の綱領にある「秩序の中に進歩を行う」という趣旨が保守の神髄であり、現実的に政権を運営していく上で最も大事な姿勢である
■ 9. 個人的な側面
- 歯科検診の重要性: 歯の健康が脳を含む頭全体と全身の健康に繋がるという認識から、歯科検診を政策に盛り込んだ
- 苦手なもの: 字が汚いこと、小学生の時に見た怪獣大作戦の白い包帯を巻いた姿がトラウマである
- ピックルボールの魅力:
- 入口が広く1時間で試合ができるようになり、同時に奥が深くプロレベルは到達不可能
- テニス経験者だが膝と腰への負担が少なく、週1回2-3時間やっても痛みがない
- 笑いながらできるコミュニケーションツールとして優れている