群馬県草津町の黒岩信忠町長からわいせつ行為を受けたと、うその告訴をしたなどとして虚偽告訴と名誉毀損の罪に問われた元同町議、新井祥子被告に対し、前橋地裁は29日、懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡した。判決後、黒岩氏は産経新聞の単独インタビューに応じ「汚名はそそがれた。これ以上振り回されたくない」と強調し、観光振興などに力を入れていく考えを示した。自身を加害者扱いしたフェミニストらに対しては「謝ってくれれば、許す」と述べ、それ以上問題視する考えはないとした。主なやり取りは以下の通り。
<新井被告を巡って、前橋地裁は昨年4月、黒岩氏が損害賠償を求めた民事訴訟で、その証言を「虚偽」と認定した>
──今回の判決の意義は
「民事に続いて刑事も新井被告の虚偽を認定し、裁判所は私の主張が100%正しいと認定した。大変いい判決だと思う。当初彼女は『町長室で性交渉した』と主張したが、『それはなかったが太ももと胸は触られた』などと発言を変遷させ、最後はスカートの中に私が手を突っ込んだといった主張も事実ではないと認定された」
──汚名はそそがれたと考えるか
「汚名はそそがれた」
「ただ、新井被告が(令和2年12月に)日本外国特派員協会で記者会見し『町長が私をレイプした』と主張し、海外に報じられたことは取り消せない。特派員協会に出向いて会見する手もあるが、現職の町長で忙しい。もう振り回されたくない。仕方がない」
──令和元年11月、黒岩氏が白昼の町長室で新井被告と肉体関係を持ったとする虚偽内容の電子書籍が出版され、6年近くになる
「6年間…本当にうんざりというか、われながらよく戦ったと思う。ものすごいエネルギーを注いだ。他人任せだと勝てないと考え、警察への上申書も自分で作成した。裁判はお金もかかる。自費でまかなったが、交通事故にあったとあきらめた」
「私や家族の名誉もだが、それ以上に草津町の名誉を守るため戦ってきた。『草津町に行くとレイプされる』などと言われ、町長として申し訳なかった」
<新井被告は町議だった令和2年12月、解職請求(リコール)の賛否を問う住民投票で失職した。草津町は「セカンドレイプの町」と批判された>
──黒岩氏や草津町を一方的に加害者扱いしたフェミニストらへの対応は
「(昨年4月以降)著名な東京大学名誉教授は謝罪の文書を私に送り、国民民主党の女性議員は町長室まで来て謝った。性被害当事者団体の当時の代表理事も15日に謝りに来るという。会うつもりだ」
「こちらは、謝ってくれれば、許すという考えだ。それ以上何かをしようという気はない。謝らないフェミニストも一方でいるが…」
──騒動を振り返ると
「今回の件が前例となって性被害に遭った女性が信用されなくなって、声をあげづらくなるのが心配だ。新井被告の行ったことは罪深い」
「変な噂が流れたときははらわたが煮えくり返る位の悔しさがあったが、これ以上事件を大きくしたくない。町長としては町のことを一番だ。勝つことで草津町の汚名をそそぐことができた」(聞き手・奥原慎平)