■ 1. 感情を共有できる相手の変化
- 新しい現実: 感情を共有できる相手は、母親や親友などではなくなった
- 生成AIがトップの地位: 実際に、AIが人間の相談や悩みに答えるAIモデル「AIコンパニオン」がいくつも登場
- 若者の間で広まる: 特に若者の間で広まり始めている
- SNSに取って代わる存在: そのような可能性が指摘されている
■ 2. AIとの対話の末の自殺事例
- 米国の少年: AIとの会話の末に自殺(9月22日の記事で紹介済み)
- ベルギーの研究者:
- 妻子ある研究者
- AIアプリ上の架空の女性と対話
- 天国で共に生きていくとして自殺
- 解決できない問題に突き当たり、どうしようもない環境の中で、自殺を勧めるAIのアドバイスに感化されたのではないか
- 生成AIの位置づけ: 単に信頼できる話し相手というだけではなく、感情を共有でき、その助言に応じて自殺にまで至り得る相手として求められ、認められるようになっている
■ 3. 電通の調査結果
- 対話型AIの使用頻度: 週1回以上使用している人は20.7%
- 世代別:
- 10代: 41.9%(最多)
- 20代: 28.7%
- 対話型AIに求めていること(全体):
- 「自分が知らないことを教えてほしい」: 46.6%
- 「アイデアを出してほしい」: 42.8%
- 10代の特徴:
- 「心の支えになってほしい」「話し相手になってほしい」が全体の割合よりも5ポイント以上高い
- 情緒的な価値を対話型AIに求めている
- 生成AIとの感情共有現象は、特に若い世代において顕著
- 感情を共有できる人の比較:
- 「対話型AI」: 64.9%(最多)
- 「親友」: 64.6%
- 「母」: 62.7%
■ 4. ChatGPTとの感情共有の普遍性
- 著者の経験: 映画の評価に関してChatGPTと感情を共有したと感じた経験がある
- GPT-5への切り替え騒動:
- 2025年8月にChatGPTがGPT-4oから、あまりほめ言葉などを言わないGPT-5への切り替えを実施
- ユーザーから反対の声が起こる
- より友好的な対応をするGPT-4oの継続提供を余儀なくされた
- 著者自身もGPT-5への切り替えは気が進まず、GPT-4oを使い続けている
- 信頼の根拠: 生成AIが、利用者の人格を傷つけるような発言を決してしないことについては、強い信頼がある
- 自然な成り行き: 私生活上のことについて相談したいと考えるのは、ごく自然な成り行き
■ 5. 自殺事例の評価
- 特異なケースではない: 決して特異なケースではなく、条件次第によっては世界のどこでも起こり得る事態
- 必要な対策: AIが決して自殺を勧めるような回答をしないように制約を加えることは、どうしても必要
- 著者の見解: AIと共感することそれ自体に問題はない
- 危険信号: のめり込んでしまって、他の人間とのコミュニケーションが減るような事態になれば、危険信号
- バランスの重要性:
- 適切なバランスをとることは、若年者世代だけではなく、すべての世代の人々にとって必要
- 特に、話し相手が少なくなっている高齢者にとっては重要
■ 6. AIコンパニオンの爆増
- 定義: 人間との間で感情的なつながりを持つAIのモデル。AIが人間の相談や悩みに答える
- 利用の広がり: 若者の間で利用が広がっている
- Appfiguresの発表:
- 2024年の課金額: 世界で5,500万ドル(約81億円)
- 前年の6.5倍に増加
- 2024年の総ダウンロード数: 1億1,800万回
- 利用者の65%を18〜24歳が占める
■ 7. SNSを超える可能性
- MITテクノロジーレビューの論文:
- AIコンパニオンの問題を論じる
- ソーシャルメディア企業が人々の注意を引きつけるために用いてきたこれまでのパラダイムを覆す
- より強い中毒性をもたらす可能性がある新たな手法に置き換えつつある
- ソーシャルメディアを超えるレベルで人々を夢中にさせる可能性が高い
- 一時的流行ではない:
- 一時的な流行ではない
- ネットに依存しているごく一部の人だけが使うものでもない
- 仕事や私生活において、わずか数年で主流の存在となった
■ 8. AIコンパニオンの魅力
- レプリカ(Replika)のCEO、ユージニア・クイダ氏の説明: 本質的な魅力は、「常にあなたのそばにいて、決してあなたを批判せず、いつもあなたを理解し、ありのままのあなたを受け入れてくれる存在」だから
■ 9. 驚異的な使用統計
- キャラクター・ドットAIのプラットフォーム:
- 毎秒2万件のクエリが送信
- Googleの推定検索ボリュームの約1/5に相当
- ユーザーがAIコンパニオンとやり取りする平均時間は、ChatGPTとのやり取りの平均の4倍
- 別のあるサイト:
- アクティブなユーザーは1日平均2時間以上ボットとの会話に費やしている
- ユーザーの大多数はZ世代(1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代、デジタルネイティブ)
■ 10. 結論:AI対人間の戦争は既に現実
- SF世界の話ではない: AI対人間の戦争は、9月22日の記事で書いたようなSF世界のことではなく、すでに現実に生じている事態なのかもしれない
- 認識の転換: この記事を読むと、そう思えてくる