■ 1. カマラ・ハリスの回顧録と路線転換
- 大手メディアの扱い: 「バイデンを老害としてdisった」みたいなゴシップばかりが採り上げられる
- 本当に重要な箇所: トランスジェンダーの問題に関して、ハリスが自説を修正したこと
- Politicoの記事:
- トランプ陣営に衝かれて重大な敗因になったとされる問題
- ハリスは「誤解を正す」という言い方で自説を修正
- トランスジェンダーの選手が女子スポーツのチームで競技することへの留保(reservations)を表明
- 長らく保守派として扱われてきた立場を、すでに表明している何人かの民主党員たちに同調
■ 2. トランプ陣営の効果的な広告
- パンチライン: "Kamala is for they/them. I am for you"
- 意味:
- ノンバイナリーなど「男女」のどちらかに囚われない性自認を主張する人には、heやsheを避けてtheyを使う潮流があった
- トランプはそうした「意識高い用語」を揶揄
- 本人が指定した代名詞で相手を呼ばないと「差別者としてキャンセルされる」的な事例がバイデン政権下では起きていた
- そんなバカげた話は終わらせる! という広告の趣旨が有権者にめちゃ刺さった
- 広告の内容:
- 「私たちの税金で、ハリスは獄中の男性が性転換する費用を出し、生物学的な男性が女の子たち(our girls)をスポーツで打ち負かすのを支援する!」
- ニューサム知事を含む全米の民主党員が、その効果を認めている
■ 3. ニューサムの先行転換
- ニューサム知事:
- 移民排斥の問題でトランプと全面対決するリベラルの闘士
- ハリスに先んじてトランスジェンダーに対する姿勢を変更
- トランスジェンダーの参加を「極めて不公平」(deeply unfair)に感じると述べた
- 民主党内の多くと袂を分かち、憎悪と称賛の声の双方が上がっている
- 次の大統領選の有力候補2人: 従来の民主党の路線から転換した形
■ 4. 保守的立場はもはや党派問題ではない
- 重要な転換: トランスジェンダーの問題で "保守的" な立場を採ることは、「トランプだから・共和党だから・ウヨクだから」ではもはやない
- 逆転: むしろ "革新的" な立場のサヨクな人こそ、今後は世界の孤児になる
- 免罪符の終焉: 「トランスジェンダー女性で差別されてる!」と叫んでも、もう米国では本人の免罪符にならない
■ 5. 英国最高裁の判決
- 2025年4月: 最高裁が全員一致で、トランス女性と生物学的な女性は「異なる」と評決
- 日本の大学教員の沈黙: 「ハリスやニューサムは差別者!」「うおおお英国最高裁に抗議のOpen Letterを!」と発信する日本の大学教員を見ない
- 言い逃げの実態: 彼らはしれっと言い逃げし、祭りは終わった
■ 6. 被害者の構造
- 一番の被害者:トランスジェンダーの当事者:
- "ブーム" に踊っただけの応援団が、暴れるだけ暴れてから「言い逃げ」
- 当事者にまで「生物学的な女性の領分を侵すのを当然視する人たち」といったレッテルが貼られた
- 以前よりも偏見は強まっている
- 次ぐ被害者:煽られて「乗っちゃった」人たち:
- 高名なセンセー方が援護してくれるはずが、彼らはさっさと銃後から言い逃げ
- 孤立無援で前線にポイ捨てされて見殺し
- まるで戦時下の玉砕
■ 7. 日本文藝家協会の事例
- 会報への投稿(2025年5月号):
- 「会報の会員投稿で、何度か差別的な文章を目にした。そして、その中には、『生物学的に』とか『科学的に』のようなフレーズが入っているものがあった」
- 「『生物学的に』という言葉から入って、誰かを否定するようなやり口は一つ残らず全て、ペテンである。生物学はそんな学問ではない」
- 著者の正体:
- 相応の業績がある生物学者かと思いきや、違う
- もう "ブーム" は終わったので、まともな学者は乗ってきてくれない
- 文中でもほのめかしがあるとおり、いま(文系の)大学院に通っているタレント
- 勝手に「学問」の看板をロンダリングしている
■ 8. 長谷川眞理子氏の明快な見解
- 進化生物学者として: 『文藝春秋』2024年3月号への寄稿
- 主張:
- 「一部では、『男女に本質的違いはない』『男女の違いはすべて社会的につくられたもの』という主張までなされています。生物学者として、こうした主張には賛同できません」
- 「鹿もクジャクも、メスの生き方とオスの生き方はまったく違う」「人間だけ性差はない、というのはあり得ない」と主張してきた
- 「性差別」に反対しながらも、ヒトにも「性差」は存在する
- 矛盾への指摘: タレント氏は長谷川氏にも、「一つ残らず全て、ペテンである。生物学はそんな学問ではない」と言うのだろうか?
■ 9. 2020年代の「専門家」問題
- 時代の特徴: 毎日がウィルスの話題に明け暮れて始まった2020年代は、「専門家」の看板さえ振りかざせば、ニセモノがなにを言ってもOKな時代だった
- 学術的ロンダリング: 単なる自分の偏見や、時の世論への媚を、専門の名を掲げて学術的にロンダリングする犯罪
- 高位の学者も同罪: タレント氏よりも遥かに高位の学者が犯してきた
- 理系も文系も変わらない: センモンカの「言い逃げ」ぶりは、理系も文系も変わらない
■ 10. 『正論』11月号への寄稿
- タイトル: 「トランス問題と "偽知性主義" 暴走する学者・専門家たち」
- 位置づけ: 未来の法廷での起訴状に相当
- 目的: もはや大学院生にさえ「自分はもう学者ってことにして、フカシちゃおうか」と侮られるほどにまで、堕ちきった学問の信頼を、取り戻す最初の一歩
■ 11. 重要な論点
- 笑い話ではない: これは笑い話ではない
- トランスジェンダーに限らない: トランスジェンダーに限った話でもない
- 逃亡犯の責任: 逃亡犯は捕えられ、裁かれなければならない
- 学問の信頼回復: 堕ちきった学問の信頼を取り戻すための最初の一歩