■ 1. マルクスの分析の鋭さ
- 機会の平等の偽善性を指摘: アダム・スミスの「機会の平等」に対し、マルクスは階級社会における生まれながらの不平等を徹底的に突いた
- イギリスの階級社会の実態: 大金持ちの子はエリートコースが用意され、オックスフォードやケンブリッジでは勉強は当たり前でスポーツに励み、あらゆる面で鍛錬している
- 労働者階級の絶望: 読み書き計算も身につけられず小さい頃から16時間の重労働に従事し、階級差は未来永劫なくならず世代を経るごとに開いていく
- 正しすぎる矛盾の指摘: 相手の矛盾をつくときのマルクスの分析は正しすぎて恐ろしいほどである
■ 2. イギリスの労働環境とマルクス理論
- 過酷な労働実態: 1850年の工場法では1日12時間労働(朝食・昼食時間含む)を勝ち取ったが、これでも長時間労働でありしばしば守られなかった
- 理論の適合性: マルクスの理論はイギリスの歴史を見ながら作られたため、一見イギリスに当てはまるように見える
- 日本への適用: イギリスに似た島国日本にも適用できるように見え、これが日本で共産主義が流行った一因となった
- まぐれ当たりの説得力: 鎌倉幕府の御恩と奉公がヨーロッパ中世の騎士の忠誠心に対応するなど、まぐれ当たりでも重なれば説得力が生まれた
■ 3. インテリを魅了した要因
- 難解な用語の魅力: 労働価値説、ブルジョア、自然必然性、社会的有機体などマルクス特有の難解な用語が無駄に使われている
- 優越感の獲得: インテリはこれらの用語を使いこなせることで自分たちは大衆とは違うエリートだと優越感に浸れる
- 批判の封殺: 小馬鹿にしようものなら「君はわかってないねえ、勉強不足だよ」と上から目線で説教され、信仰が強化継承されていく
- 日本での威張り散らし: 現実への矛盾を突きつけるマルキストの指摘が当たっていたため、日本はマルクス主義者が威張り散らす国になった
■ 4. マルクス主義の本質
- 一言でのまとめ: 世界中の政府を暴力革命で転覆し、地球上の金持ちを皆殺しにすれば全人類は幸せになれる
- 狂気の思想: 共産主義思想は狂気だが、狂気にも受ける理由がある
- 普通の人の反応: 一般の人は暇ではないのでマルクス特有の用語を勉強する気にならない
- 今日的な評価: 労働価値説など今どき使い物にならない説である