/note/social

「年功序列がいいよね」と言い始めた若者たちには夏目漱石先生の「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」...

要約:

■ 1. 年功序列復権の衝撃

  • 調査結果: 産業能率大学総合研究所の調査で、新入社員が旧来の年功序列型人事制度を成果主義よりも望む声が上回り、調査開始から36年で初めて逆転した
  • 時代の変化: Z世代が「成果」や「結果」を重視していた時代から、「年功序列だよね」と言い始める時代へと急速に変化した
  • 成果主義支持の理由: 若い世代は「バリバリ結果を出して上の世代を追い越していきたい。自分にはその能力がある」と考え、仕事のできない人間の下で働くのは時間の無駄であり、自分の実力に見合った待遇と立場を得たいと考えていた

■ 2. 技術革新による変化

  • 経験の価値低下: ネットで調べれば事例やノウハウが学べるようになり、動画や図やグラフで体系的にまとめられているため効率も良く、上司や先輩の経験がストロングポイントにならなくなった
  • 誰でも結果が出せる問題: インターネットや検索エンジン、生成AIのようなテクノロジーが誰でも簡単に低額で使えるようになり、誰でもまあまあレベルの高い仕事ができるようになった
  • 評価のハードル上昇: 同じようなレベルの仕事をしていれば、それがレベルの高いものであっても決定的な差にはつながらず評価されず、結果を出すハードルが高くなった
  • 成果主義の問題: 結果を出していても評価されなければ楽しくなくなり、他者に勝たなければならないのでギスギスし、結果がともなわないと精神的な負担が大きい

■ 3. 年功序列への回帰理由

  • 安定志向: 結果を出しても評価されないなら在籍年数によって待遇や地位が上がっていく年功序列のほうが良いと考えるようになり、先行きの見えない世の中で求められる結果がめまぐるしく変わることへの対応が大変であることも背景にある
  • 楽を求める志向: 成果主義が思ったより結果を出せずに楽ではないことがわかったから、楽そうな年功序列への回帰を求めるようになった

■ 4. 筆者の警告

  • 夏目漱石の言葉: 「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」という言葉を捧げ、楽をするのは大事だが向上心を失ってはいけず、成果主義から年功序列への回帰は過去へ戻ることであり向上心がないことだと指摘した
  • 年功序列の厳しさ: 能力と適性がないのに努力すらしない上司・先輩の指示のもとで働くしんどさがあり、間違った指示から最適解を導き出して行動に移し、その結果をアホな先輩と手柄をシェアしていく必要があり、成果主義と比べると本来は必要ない気づかいが全般的に求められる
  • 筆者の経験: 30年の職業人生で年功序列と成果主義の両方を経験し、良いところも悪いところもわかっており、このタイミングで年功序列に戻されるのが一番きつく、いざ年功序列に回帰したら耐えられない人が続出するだろうと予測した

■ 5. 提言

  • 制度の一長一短: 年功序列は結果を出している人に不公平感が強く年齢や経験が重視されすぎ、成果主義は技術によって同じような結果を出したときに評価されなくなるという欠点があり、どちらも一長一短である
  • 堂々巡りの警告: 楽をしたいからという理由での年功序列への回帰は、いつかふたたび成果主義への回帰に変わる堂々巡りになる
  • 向上心の重要性: 成果主義を改良してネオ成果主義を作り上げていくのが向上心であり、他者と違うことを目指すという方向性なら現代の若者ならでき、制度がどうあろうと精神的に向上心をもって前に進めば何とかなる