■ 1. 事件の概要
- 発言の内容: 高市早苗氏の自民党新総裁就任後の囲み会見前に、党本部で待機中の報道陣から「支持率下げてやる」「支持率下げる写真しか出さねえぞ」といった暴言が日本テレビのライブ配信に拾われ、ネット上で猛批判を浴びた
- 発言者の特定: 各社が聞き取り調査を実施した結果、時事通信社の大ベテランのカメラマンだということが判明し、10月9日に時事通信はHPに謝罪文を掲載し、男性カメラマンを厳重注意した
- 他の発言: 「裏金と、靖国と、なんかでしょ?」といった高市氏の政治姿勢を揶揄するかのようなものや、「巻き込むな」「必然的に巻き込まれるから」などの軽口のようなものまでが拡散し、発言者の犯人探しがなされる事態にまで発展した
- 波及効果: 「高市新総裁」の誕生を読み切れなかった総裁選報道の直後での問題発言だっただけに、メディアへの風当たりはさらに強まり、多くのメディアでは「ウチの社ではないですが気を付けてください」と記者や現場に異例の「通達」をした
■ 2. 政治取材現場の実態
- 現場の状況: 自民党本部4階の赤じゅうたんが敷かれたエレベーターホールは党幹部が囲み取材に応じる場所で、取材対象を待つ間の番記者同士の軽口もいつもの風景であり、正直もっとドぎつい軽口や冗談を言うこともある
- 閉鎖的な環境: 狭い永田町で日々同じ対象相手を追っかけている政治の現場では妙な仲間意識が芽生えやすく、取材の待機中には身内同士で口が軽くなりついつい冗談や軽口をたたいてしまうことも珍しくない
- 記者の権限: 現場のカメラマンにも記者にも論調を左右するほどの権限はなく、今回の会見場は党本部だから平河クラブに所属する記者だけではなくフリーの人も来ており、フリーの記者やカメラマンでもかなりマナーの悪い人がいる
■ 3. 「昭和世代」の問題
- 世代の特徴: 「昭和世代」のベテランのカメラマンや記者の口の悪さは際立っており、オジサンカメラマンは昔からとにかく口が悪い人が多く、下ネタは多いし若い女性記者にセクハラ発言するし道端でタバコ吸ったり暴言も吐いたりする
- 永田町の特殊性: 永田町は昔ながらの長時間労働やセクハラ・パワハラが横行する古い「昭和」な体質が今も色濃い取材現場で、いまだにクローズドな閉ざされた世界だから時代に合わない化石のようなオジサンも残っている
- マナー改善の兆し: 最近はいつでも誰でもカメラに捉えられSNSにアップロードされてしまう時代で、さらされるリスクがわかっているだけにあまりに非常識な行動はなくなり現場のマナーは随分とよくなった印象である
■ 4. 業界の構造的問題
- 人材不足の影響: 昭和のオジサンカメラマンは横柄な人が多いが腕がめちゃくちゃ良くてその人じゃないと撮れないものもあり、なり手不足の業種だし若い子は腕も根性もないから結局頼ってしまう
- 対応の限界: 「たとえ冗談でもそんなことを言わないでくださいよ」とキツく言うとスネて仕事してくれないので優しくクギを刺すしかできない状況である
- 根本的課題: 個人的な好悪で意図的に誰かを貶めるような報道はあってはならず、マスコミ業界全体の人材不足もガラパゴス化した「昭和」で偏向的なカメラマンや記者をはびこらせる要因にもなっているのは間違いない