4日の自民党総裁選で、高市早苗氏が大方の予想を覆して勝利しました。中国の習近平(シー・ジンピン)政権も戸惑っているにちがいありません。高市氏は、過去に中国を含む周辺国に強硬な発言を繰り返してきたからです。
「高市政権」が発足したら、日中関係はどうなるのか。東京財団主席研究員の柯隆氏と日本経済新聞政策報道ユニット長の桃井裕理氏が、ラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「中国経済の真相」で討論しました。
2人が共に注目するのが、公明党の動向です。中国共産党は歴史的に公明党と深い関係を築いてきました。自民党が靖国神社への参拝問題などで「タカ派」に傾いたとき、同党と連立を組む公明党に歯止め役を期待してきた面があるのは事実です。
その公明党や支持母体である創価学会のなかで、連立からの離脱論が浮上しています。保守色の濃い高市氏への不信感をぬぐいきれないからです。柯隆氏は「公明党が本当に連立から離れれば、中国共産党にとって対日関係で相当なダメージになる」との見方を示しました。
中国の呉江浩駐日大使は6日、国会内で公明党の斉藤鉄夫代表と面会しました。桃井氏は「(呉氏は斉藤氏に)連立に残ってほしいという気持ちをにじませたのではないか」とみています。
習近平政権は公明党が連立から離脱すれば、台湾に近い自民党の麻生太郎副総裁らがますます対中政策で強硬路線に走るのではないかと警戒しているはずです。自民、公明両党の連立協議が日中関係の行方に大きな影響を及ぼすのはまちがいありません。