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なぜ企業って文系事務職を切り捨て始めたの? と思った時に読む話

要約:

■ 1. 企業の黒字リストラ加速の背景

  • リストラの加速: 数年前から指摘されていたが、ここにきてさらに企業の黒字リストラが加速している
  • 新たな特徴: 従来は目立たなかった特徴として、明らかに事務職がターゲットとなっている点が挙げられる
  • メガバンクの採用減: メガバンクの新卒採用枠が減り、とりわけ私立文系枠が激減しているという分析もあり、これも同じトレンドの一端である

■ 2. 黒字リストラの構造的理由

  • 高コストなベテラン: 年功賃金のせいで高コストなベテラン(しかも多くが消化試合中)が多すぎるという構造的課題がある
  • 雇用コストの増加: 繰り返される定年の引き上げや社会保険料負担増といった雇用コスト自体の増加が理由である
  • 身軽化の判断: 黒字なのにではなく、黒字の今だからこそ身軽になっておこうという判断である
  • 70歳雇用努力義務: 2025年法改正による「70歳までの雇用努力義務」が一番大きな要因であり、これまでリストラに及び腰で先送りし続けていた企業も腹をくくった
  • 強烈なメッセージ: これまで組織のために年功を積んできたベテランを放逐することは組織内への「もう時代は年功序列ではない、ジョブの時代だ」という強烈なメッセージになる
  • ジョブ型への移行: 黒字リストラを実施した企業が例外なくジョブ型に移行済みなのは当然である

■ 3. 事務職がターゲットとされる理由

  • 製造ラインの余地: 大手の製造業は2000年代に製造ラインのリストラを含む見直しをあらかた行っており、さらにしぼる余地が少ない
  • AIによる置き換え: AIによる置き換えがとりあえずは間接部門で先行している
  • 既得権への着手: これまで氷河期世代や製造ラインを犠牲にすることで本社をはじめとするホワイトカラーの年功序列を維持してきたものの、AIの台頭でいよいよ本丸の既得権に手を付けざるを得なくなった

■ 4. 日米の違いとキャリアデザインの重要性

  • 専門性の有無: もともとジョブ型の米国の場合は中高年に専門性を磨いたプロが多く、日本の場合はそうでなかった
  • 評価の困難性: 出世競争を終えて消化試合中の人間を「ジョブで評価する」なんて無理な話である
  • 生き残りの条件: これからはキャリアデザインしてプロにならないと生き残れないことが図らずも実現してしまった形である

■ 5. インフレによる兵糧攻め戦略

  • しがみつく問題: 早期退職募集しても辞めて欲しい人ほどしがみつくのではないかという疑問がある
  • インフレの援護: インフレが強烈な援護射撃をしており、各社とも「辞めてもらってOKな人」の賃金はこの数年間極力据え置いて既に兵糧攻めしている
  • 手を上げる人の増加: 少なからぬ数の"そういう人達"が手を上げることになる
  • デフレ期の終焉: 「なにがあっても定年までしがみつけ」はデフレ期限定のセオリーで、インフレ期にはもはや通用しない

MEMO: