【10月11日 AFP】米シリコンバレーの投資家ピーター・ティール氏は、一連の個人講演の中で、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんと人工知能(AI)反対派を「反キリスト(アンチキリスト)の軍団」と呼び糾弾した。米紙ワシントン・ポストが10日、報じた。
ワシントン・ポストが確認した録音によると、サンフランシスコのコモンウェルス・クラブで行われた各2時間、全4回の講演は、宗教的信条とテクノロジー規制への警告を融合させたものだった。
ティール氏は、テクノロジー開発への規制を提案する人々は、米国の破滅と世界的な全体主義支配の時代をもたらす恐れがあると主張した。
ティール氏は、実業家イーロン・マスク氏も属する「ペイパルマフィア」のメンバーで、純資産は約270億ドル(約4兆1270億円)。元側近のJ・D・バンス副大統領を含むドナルド・トランプ政権と密接な関係にある。2016年の大統領選でトランプ氏を支持した唯一のシリコンバレーの有力者でもある。
ティール氏の見解では、聖書に出てくる反キリストとは邪悪な天才技術者ではなく、人類を絶滅させる可能性のあるリスクについて絶えず警告し、革新的な分野への強力な規制を求める人物だ。
録音によると、ティール氏は9月15日の開会講演で、トゥンベリさんとAIの危険性について警鐘を鳴らすエリエゼル・ユドカウスキー氏に言及し、「21世紀における反キリストとは、あらゆる科学を阻止しようとするラッダイト(技術革新反対派)のことだ。グレタやエリエゼルのような人物だ」と述べた。
ティール氏は金融規制について、反キリストのような人物に支配される可能性のある世界政府が出現し始めている兆候だと批判。
「個人の財産を隠すのは極めて困難になっている」と述べ、富裕層に「権力と自律の幻想」しか与えない「租税条約、金融監視、制裁構造という信じられないほど複雑な仕組み」について説明した。
一連の講演は、米国でキリスト教ナショナリズムが高まり、シリコンバレーのリーダーたちが第2次トランプ政権下でAI規制に対する闘いを激化させる中で行われた。(c)AFP