■ 1. 参院選における公明党の惨敗
- 選挙結果: 改選14議席の死守ができず、獲得できたのは8議席で実に6議席を失った
- 筆者の立場: 非学会員だが創価大学で学び、四半世紀にわたって学会と学会員を「内」と「外」の両方の視点から観察してきたジャーナリスト
- 筆者の見解: もう票が取れないなら、そう遠くない将来、創価学会は公明党を見限るのではないか
■ 2. 学会員の冷静な反応
- 驚くほど冷静: 最大かつ唯一の支援団体である学会で、実際に選挙の舞台裏を取り仕切った学会員たちの声は驚くほど冷静
- 学会員の声:
- もはや自民党との区別がない
- 党として独自のカラーが打ち出せていない
- 人も政策も無党派層を取り込めるパンチの効いた何かがない
- 内外の乖離の消失: かつて「内」と「外」の間で使う言葉の意味や価値観に大きな乖離があったが、近頃ではそれがなくなりつつある
■ 3. 過去の選挙敗北時との比較
- 1996年第41回衆議院総選挙: 学会が応援して大敗した選挙の例
- 当時の落胆ぶり: 学会員たちの落胆ぶりは凄まじく、とても声などかけられるものではなかった
- 創価大学キャンパスの光景:
- 開票日の翌朝、女子学生が集まって泣いている
- 「先生(池田大作)に申し訳なくて」「私たちの祈りが足りなかったから」という声
- 男子学生の檄: 「俺たちは高木先輩を国会にお戻しできなかった。1万票差での負け。敗因は俺たちに気の緩みがあったこと」
■ 4. 高木陽介候補と新進党
- 高木陽介: 東京24区(八王子市)から出馬した前職で創価大学OB、当時「若手の論客」として売り出し中
- 新進党への合流: 公明党は政界再編に参加したため解党し新進党に合流
- 学会員の声: 「新進党といえばお願いしやすい。公明党だと学会と言われてやりにくかったが、とてもやりやすい」
- 実態: 冷静に考えると党派を問わず「やりやすい選挙」などはなく、「俺たちの気の緩み」があったことは否めない
■ 5. 責任の所在の変化
- 1996年当時: 学会員として選挙活動に携わった創価大学の学生たちは、負け戦という選挙結果を自分たちの責任、「自分事」として捉えていた
- 現在: 敗戦となればその責任は公明党と候補者にあると考えられる時代
- モチベーションの変化: 「池田先生がお作りになられた政党の候補者だから」という理由だけで学会員たちは命を張れないし、張らない
■ 6. 学会活動の多忙さ
- かつての学会活動: 熱心にやればやるほど忙しくなった
- 活動内容:
- 丁目単位から県、全国レベルまで日々の活動報告
- 仏法を勉強する座談会をはじめ、大中小の集会
- 機関紙の配達、集金、拡張活動
- 折伏と呼ばれる新規入会者の勧誘
- 選挙時には選挙活動も加わる
■ 7. 学会活動のアウトソーシング化
- 見直しの動き: 近年、「忙しすぎる」学会活動が内部で見直されている
- 具体例: 機関紙「聖教新聞」の配達を大手新聞社に委託するなど、学会活動における事務の「アウトソーシング化」が進みつつある
- 新聞配達の位置づけ: 学会員たちの間では人格者が行うものとして知られているが、「任命されるだけの人物ではありたいが、実際の任命はできればご勘弁を」という声も漏れ聞こえる
■ 8. 選挙活動の負担
- 忙しさと煩雑さ: 選挙活動はその最たるもの
- 労多くして功少なし: 学会員たちが汗を流しても候補者は落選、公明党は目立たずでは応援のし甲斐がない
- 信仰への影響: こうした状況が続くと信仰への不信へと繋がり、学会から離れていく者も出てきかねない
- 上層部の危惧: この点は学会上層部もきっと危惧している
■ 9. 次の軽減化対象としての選挙活動
- 予測: 機関紙のアウトソーシング化に続く次の「学会活動軽減化」の対象となるのは選挙活動ではないか
- 公明党を見限る可能性: 票の取れない公明党を見限り、学会が打ち立てた政策を実現に動いてくれる既存の政党を直接支援する形を取ると見るのが自然
- 学会員への負担軽減: わざわざ公明党で選挙運動を行うよりも、政党との選挙協力で済ませるほうが学会員たちへの負担は軽減され、結果として学会の組織力は保たれる
■ 10. 学会の現状と固定票
- 勢いの減少: 今の学会はかつてほどの勢いはない
- 固定票の存在: こと選挙となると絶対的に安定した固定票がある
- 効率的な支援方法: 公明党で選挙運動を行うより、政党との選挙協力で済ませる方が合理的
■ 11. 創価女子短期大学の閉鎖
- 閉学の決定: 2026年度から学生の募集を停止し閉学となる
- 理由: 18歳人口の減少や社会情勢の変化
- 内部の反応: 教条的な批判の声は聞こえてこない
■ 12. 学会員の価値観
- 中心的価値観: 「池田先生をお守りする。その一点さえ外さなければそれでいい」
- 創価大学で学んだ者ならよく耳にする言葉: この言葉が学会員の行動原理を示している
- 筆者の結論:
- 将来、たとえ規模が縮小しようとも学会をなくすことはない
- でも公明党を見限ることはある
- 創価女子短期大学の閉鎖、聖教新聞の配達委託といった動きがそれを物語っている