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「公明連立離脱」で“高市新政権は挫折、内閣総辞職の理由は消滅、石破首相継続しかない!

要約:

■ 1. 連立協議決裂の経緯

  • 日時: 10月10日、自民党高市早苗総裁と公明党斉藤鉄夫代表との会談
  • 結果: 連立協議が決裂し、石破政権後の日本政治の枠組みは見通しがつかないカオス状態となった
  • 歴史的意義: 26年間続いてきた「自公政権」が完全に崩壊した
  • 決定的な発言: 高市氏が会見で「党内手続きを経るためにこれから検討しますと答えたら、一方的に連立離脱を通告された」と述べた時点で、関係修復の余地はなくなった

■ 2. 公明党の要求

  • 核心的問題: 自公政権の下での自党の支持低下の原因となった「政治とカネ」問題
  • 要求内容: 自民党に抜本的な対応を強く求めていた
  • 失望の理由: 新総裁としてどういう姿勢で臨むのかが問われていたのに、高市氏の対応が不十分だった

■ 3. 現在の客観的状況

  • 自民党の議席: 衆議院の過半数の議席を40近く割り込んでいる
  • 連立の困難性: 1党との連立では過半数を確保することができない
  • 戦略的失敗: これまで公明党との連立関係を安全パイのように考え、連立拡大にばかり目を向けたため、絶対条件だった公明党との連立関係を失った
  • 現実的選択肢の不在: 2党と連立を組んで過半数を超えることはほぼ不可能

■ 4. 日本維新の会との連立の困難性

  • 実態: 実質的に関西の地域政党に近い
  • 歴史的対立: 関西で自民党とは選挙で熾烈な争いを繰り返してきた
  • 連立の大義: 「副首都構想」で合意して大阪都構想を実現することしかありえない
  • 最大の障壁: その構想に最も強く反対してきたのが大阪自民党
  • 実現可能性: 今の高市総裁の体制ではまず不可能

■ 5. 国民民主党との連立の困難性

  • 組織的障壁: 背後に「連合」という組織がある以上、もともと実現困難
  • 数的問題: 自民党と組んでも過半数に届かない
  • 政策実現の問題: 国民民主党が掲げる「手取りを増やす」という政策実現に結びつかないため、連立を組む意味がない
  • 立憲民主党との大連立: もともと全くありえない話

■ 6. 高市新政権の困難

  • 首班指名: 比較第一党なのでなんとか高市新総裁を首相に指名することはできる
  • 政権基盤の欠如: 石破政権のような自公の連立に加えて他の野党とも一定の協力関係があるわけではない
  • 基本的枠組みの不在: 予算・法案を成立させる政権の基本的枠組みが全くできない
  • 組閣の問題: 組閣をすること自体も無責任であり、内閣としての体をなしていない

■ 7. 野党の動き

  • 立憲民主党の呼びかけ: 安住幹事長が中心になって野党協力による首班指名を各野党に呼びかけている
  • 野党連立の困難性: 各野党間の政策・基本理念の違いはあまりに大きく、連立内閣を組んでも国民の支持が得られるとは思えない
  • 問題の本質: 今回の政治の枠組みの崩壊は参議院選挙を契機とする自民党内の党内抗争の勃発という「自民党の大失態」
  • 国民の期待: 政権が野党に転がり込んだとしても、その新政権に国民が期待することはありえない

■ 8. 高市新政権の枠組みづくりの破綻

  • 現状評価: 完全に破綻し、ほとんど実現不可能な状態
  • 検証の必要性: 時間軸を遡って参議院議員選挙後の経過を改めて振り返る必要がある
  • 明らかになったこと: そのような経過に至った原因、そこで活発に動いた人たちの意図と目論見

■ 9. 参院選後の「石破降ろし」の経緯

  • きっかけ: 7月の参院選で石破首相が必達目標とした「自公で過半数」に3議席届かなかった
  • 党内の動き: 旧安倍派のいわゆる裏金議員、非主流派の茂木派が真っ先に動いた
  • 麻生派の動き: 表立った動きは見せていなかったものの、派閥内で何人かの議員が「石破降ろし」に向けて声を上げた
  • メディアの役割: 政治マスコミの側で「石破降ろし」の中心となったのは読売新聞

■ 10. 「石破降ろし」の論理

  • 主な理由: 「参議院選挙で自公政権を否定する民意が示されたのだから、その自公政権のトップである石破首相は退陣するのが当然だ」
  • 実態の軽視: 過半数に3議席届かなかっただけで、無所属議員を加えることなどで参議院過半数を維持することもできた
  • 「歴史的惨敗」の誇張: 第一次安倍政権時の2007年の参議院選での敗北と比較しても、今回の議席減ははるかに少なく、歴史的惨敗などではなかった
  • 論理の誤り: 政権選択選挙ではない参議院選挙での勝ち負けを政権の枠組みを変えることに結びつける議論自体が、衆議院議院内閣制の下では本来ありえない

■ 11. 「石破首相退陣が当然」とされた理由

  • ガバナンス論: 「組織のトップとして敗北の責任を取ってけじめをつけるべき」という意見
  • 結果責任論: 昨年秋の衆院選と今年7月の参院選2回の国政選挙で敗北したのだから総裁を辞任し首相を退陣するのが当然
  • 企業経営との比較: 「企業経営者でも3回連続赤字を出したら辞任するのが当然」という声
  • 政権運営見通し論: 「衆議院での過半数割れに加えて参議院でも過半数を失い政権運営の見通しがたたなくなった」という意見

■ 12. 政権運営見通し論の検証

  • 論理の合理性: 政権運営を行っていくことは首相にとって不可欠であり、それが見通せないのであれば退陣するしかないというのは当然
  • 実態の評価: 昨年秋の衆院選で自公が少数与党となった後も、森山幹事長の人脈もあり、野党とも臨機応変な対応で予算・法案を全て成立させてきた
  • 3議席不足の影響: その政権のままであれば、参議院で過半数に3議席足りなくなったことが政権への決定的な支障になるとは思えない
  • 野党との関係: 参院選後、石破政権側から特に野党側に対して目立った動きがなかったからといって、政権運営への見通しが暗くなったわけではない

■ 13. ガバナンス論の問題点

  • 結果責任と遂行責任: 「結果に対して負うべき責任」と「目標達成のために組織をまとめたり問題に対応したりする責任」の違い
  • 上場企業との違い: 企業であれば経営者は株主に対して利益を実現する責任を負うが、政党の場合はそのように単純ではない
  • 政党トップの複雑な責任:
    • 選挙で国民の支持を得る
    • その支持を活用して党の政策を実現する
    • 政権を担う政党であれば国政を安定的に運営する
  • 合理的アプローチ: 単純な「結果責任」ではなく「遂行責任」を中心に考えることの方が政党にとっては合理的

■ 14. 石破政権の実績

  • 就任の経緯: 昨年9月の総裁選で石破氏が自民党総裁に就任
  • 衆院選の敗北: 政治資金パーティー裏金問題への批判からは当然の結果とも言える敗北
  • 政権運営の成果:
    • 弱い党内基盤の下で何とか党内体制を維持
    • 野党との協力も得ながら予算、法案を可決
    • コメ大幅増産の方向への農政改革を打ち出した
    • 参院選直後にはEUなどにも先がけてトランプ関税を25%から15%に引き下げる合意に成功
  • 今後の展望: 本格的に石破カラーを出して政権を運営していくべき時で、遂行責任を果たすという面ではこれからが本番だった

■ 15. 「結果責任」中心の考え方の問題

  • 旧来の日本型組織: 勝ちと負けを峻別し、負ければ潔く腹を切って責任を取るという単純な考え方
  • 評価基準: 上位者には結果を出すまでのプロセスについて「言い訳」せず、表面的な潔さだけが評価される
  • 55年体制下での通用性: 政権基盤が安定し、自民党総裁選が「最大の政治上の決戦」だった状況だからこそ通用した
  • サル山的環境: 外部から遮断された環境だったからこそ「ボス猿選び」という内側の争いでは結果責任重視、「ケジメをつける」で充分だった
  • 現代における不適合: 国民の要請も民意も複雑多様化し、多党化時代を迎えた情勢の下では全く通用しない

■ 16. 高市氏の直面した現実

  • サル山的ガバナンス論の帰結: 「石破おろし」が実現し自民党総裁に就任
  • 第一段階での挫折: 26年間の連立関係で「ウチ」の存在と見ていた公明党が、実は理念も政策も違う「ソト」の存在であるという「当然の現実」に直面
  • 政権樹立の行き詰まり: 政権樹立への道はただちに行き詰った

■ 17. 正しい判断基準

  • 党内ガバナンス論の否定: 全く正当性がなかった
  • 政権運営見通し論の重視: この観点に徹して考えるべきだった
  • 遂行責任中心の考え方: 自民党が昨年のフルスペックの総裁選で3年という任期を石破首相に委ねたのであれば、まず党内基盤、政権基盤を安定させるための期間に1年を費やすのが合理的
  • 国民の期待: そこから石破政権として本格的にその独自の役割を果たす段階に入ることを国民も期待していたはず

■ 18. 読売新聞の役割

  • 既成事実化の試み: 「石破総理退陣へ」の号外まで出して石破首相退陣を既成事実化しようとして失敗
  • 政治的画策: その後も石破降ろしの政治的画策を露骨に行った
  • 決定的な影響: 前倒し総裁選の賛否を問う手続の開始の日の朝刊で、現職総理の総裁を「虚偽説明」と批判し、前倒し賛否に決定的な影響を与えた
  • 自社の「誤報の検証」: この名目で総裁選前倒しに重大な影響を与えた
  • 結果: 総裁選前倒し賛成意見が一気に拡大し、石破総裁の辞任の決断につながった

■ 19. 石破総裁辞任の瑕疵

  • 反党行為: 読売と結託して「石破降ろし」を画策した自民党内勢力は「反党行為」そのもの
  • 辞任の無効性: 党の決定的な分裂を避けるため自ら総裁辞任を決断した石破総裁の意思表示には瑕疵があり、無効だったという考え方も可能
  • 臨時総裁選の無効性: 「総裁が欠けた」との要件を欠くので、その後の臨時総裁選は無効となるという論理
  • 現実的困難: そのような考え方で時計の針を9月2日の時点にまで戻そうとすれば、自民党内は大混乱に陥る

■ 20. 現実的な選択肢

  • 二重体制の維持: 高市新総裁の下での新執行部を維持しつつ、現在の石破内閣を維持する
  • 現状の評価: 公明党との連立による石破政権がしっかり内閣としての役割を果たし、政府も機能している
  • 内閣総辞職の前提の欠如: 高市新総裁による政権樹立が挫折し、新内閣発足の見通しが立っていなければ、現在の内閣と政府の体制を維持するのは当然
  • 石破首相の責任: 政権の枠組みが定まらない現状のままの内閣総辞職は無責任との批判は免れない

■ 21. 党内体制の現状

  • 人事の実施: 高市執行部の下で党内の主要人事が行われた
  • 体制の不完全性: 党内体制が固まるところにまでは至っていない
  • 極めて異例な状況: 石破首相は今後も旧総裁として党内にもある程度の権限を有する必要がある

■ 22. 今後の方向性

  • 協調体制の構築: 石破首相と高市新総裁との協調体制を作ることによって党運営を行う
  • 連立・協力の模索: その中で野党との連立や協力を模索する
  • 内閣総辞職のタイミング: その見通しが立った時点で内閣総辞職を行う
  • 代替シナリオ: それが困難な見通しとなった場合には、高市総裁の方が辞任するほかない

MEMO: