■ 1. ロシア潜水艦ノボロシスクの漂流事件
- 事件概要: ロシアのディーゼル型潜水艦ノボロシスクが北海で重大なトラブルにより緊急浮上し漂流した
- NATO側の確認: フランスとオランダのメディアが最初に報道し、オランダ国防省が事実を認め海軍艦艇が随行していたことを発表した
- 技術的問題: 燃料系統の深刻な破損により船体内に燃料が漏出し、爆発の危険性が指摘された
- ロシア側の対応: 黒海艦隊はトラブルを否定したが、オランダ国防省という信頼できる情報源が確認しているため信憑性は低い
■ 2. 潜水艦の技術的状況と背景
- 修理不能の状態: 乗組員の中に修理に必要な技術専門家がおらず、船内では一切の対応ができなかった
- 潜水艦の性能:
- 2013年就役の比較的新型艦でプロジェクト636.3型
- カリブル巡航ミサイルの発射能力を持つ重要兵器
- ウクライナ戦争で西側を警戒する存在として扱われていた
- シリア情勢の影響: シリアのタルトゥース拠点崩壊により整備不能となり、長距離航行を余儀なくされた
- 航路の制約: ボスフォラス海峡がトルコにより閉鎖されているため、フランス沖と北海を経由する遠回りルートを強行した
■ 3. ロシア海軍の能力低下の実態
- 遠距離作戦能力の欠如: 現代のロシア艦艇が遠距離作戦に耐えられないという事実が露呈した
- 比較対象: アメリカの潜水艦が世界中を航行できるのに対し、ロシア艦は整備拠点なしでは数千キロの航海に耐えられない
- リソースの劣化: 古い技術者は既に高齢化し、新しい技術者が育っていない状況
- 戦略的意味: 軍事力の投射能力の致命的欠陥を意味し、大きな戦略的失敗と見なされている
■ 4. NATO事務総長ルッテの発言と反応
- レッドオクトーバーへの言及: 1990年代の映画を引用し、皮肉混じりに「整備書を探せ」と発言した
- NATO側の論理:
- ロシアの戦闘機を撃墜しない理由は圧倒的に優位な立場にあるため
- イスラエルの対イラン作戦でNATOの技術的優位性が証明済み
- F-35をはじめとする装備とリソースでロシアより圧倒的に有利
- 地中海からの撤退: ロシアはかつて地中海に複数の艦艇を展開していたが、現在その存在はほぼゼロに等しい
■ 5. ロシアの軍事的脅威の本質
- 技術ではなく暴力性: ロシアが世界にとって脅威であるのは技術力ではなく無謀さと暴力性である
- 制御不能なリスク: 潜水艦の故障一つで環境被害を引き起こす寸前という状況が2025年現在のロシア海軍の実態を示している
- 軍事的信頼性の低下: ロシア海軍全体の劣化、軍事インフラの崩壊、外交的孤立、大国としての威信低下を象徴する出来事となった
■ 6. 分析と考察
- 短期作戦との違い: 欧米が関連する戦争は短期決戦が多いが、ウクライナ紛争は既に4年目に入っており状況が異なる
- 実戦での度胸の欠如: 高度な兵器を持っていても実際に使用する度胸がなければ意味がないという指摘
- リーダーシップの問題: 各国のリーダーは国民の集合意識を反映しており、弱腰な姿勢は国民性の表れでもある
- ウクライナの特殊性: ヨーロッパの中で実際に戦う度胸を持って行動しているのはウクライナのみという評価