■ 1. 第二次世界大戦に対するアメリカの評価
- ハルバースタムの著書: ピューリッツァー賞を受賞したデビッド・ハルバースタムの『フィフティーズ』という本で指摘
- 失敗の戦争: アメリカにとって第二次世界大戦は割と失敗の戦争だった
- 一般的イメージとの乖離: 一般的にはアメリカは第二次世界大戦で自信をつけて世界の警察官になり大成功したという印象があるが実際は異なる
- 著者の信頼性: ハルバースタムは『ベスト&ブライテスト』でピューリッツァー賞を受賞した作家で決していい加減なことを書く人ではない
■ 2. ヨーロッパでの戦争結果
- ナチスからの解放: ヨーロッパをナチスから、ドイツ軍から救った
- ソ連の拡大: 結果としてポーランドもチェコも実はソ連に奪われてしまった
- 戦争の始まり: 元々ポーランドにドイツが侵攻したから始まったはずの第二次世界大戦
- 皮肉な結果: 終わってみたらアメリカが膨大な金を使い技術を使いアメリカの若者の血を山のように流して起きたことはソ連が拡大するのを助けただけになってしまった
- ナチスの二正面作戦: ナチスはイギリスともフランスとも戦ったが同時にソ連とも戦っていた
■ 3. 共産主義の拡大
- 当時のソ連: 当時のソビエト連邦は共産主義の国でアメリカにしてみれば絶対に拡大を防ぎたかったはず
- ソ連との同盟: ナチスに恐怖するあまりついついソ連と手を組んでしまった
- 予想外の結果: 戦争が終わってしまったらヨーロッパの半分ぐらいはナチスドイツの手にではなくソ連の共産主義者の手に渡っていた
- 日本との戦争: 原子爆弾まで使って日本との戦争に勝ったが、中国は共産主義者の手に渡ってしまった
- 共産主義者の伸長: 2つの戦争でアメリカは勝ったにも関わらず終わってみたら共産主義者が力を伸ばしている
■ 4. 軍事予算の増大
- 予算削減の期待: 本来戦争が終わって若者が山のように帰ってきてこれからアメリカの景気が上がっていくはず、軍事費もガッと抑えられて福祉とかに使えるはずだった
- 実際の増加: 実は第二次世界大戦が終わってからの方がアメリカの軍事費は増えているぐらい
- 増加の理由: 共産主義者たちの侵略に怯えなければいけなくなったから
- 悪の枢軸の排除: ファシストたち、つまりドイツと日本という当時のアメリカが悪の枢軸と言っていた勢力をアメリカが抑えちゃったばっかりに結局共産主義者が伸びてしまった
- 大失敗: アメリカは軍事費が余分にかかることになってしまい、これは大失敗
■ 5. 国民への説明の困難さ
- 言えない真実: そんなことは国民の前では絶対に言えない
- 国民の認識: アメリカ人万歳、戦争に勝ってファシストを倒したアメリカは世界の警察だと喜んでいる国民
- 口が裂けても言えない: 口が裂けても悪い、あの戦争ははっきり言って間違いだったとは言えない
- 民主党と共和党の対立: この件に関して意見が真っ向から対立している
■ 6. 共和党と民主党の政策
- 共和党の伝統: 昔から小さな政府と言っていて海外のことにはあまり手を伸ばさないと言っていた
- アメリカファースト: トランプが共和党の公約にしたアメリカファーストはアメリカを第一に考えることで他の国のことはもうあまり考えないという意味
- 第二次世界大戦前からの政策: それは第二次世界大戦の前ぐらいから言われた共和党の政策
- 民主党の姿勢: 民主党はそうじゃなくて全体のバランスを考えようと言って結局第二次世界大戦に入ってしまった
- 両党の真っ青: 終わってみたら民主党も共和党も真っ青になるぐらいのこの状況のやばさ
■ 7. 戦争の英雄と本当の敵
- 英雄を貶せない: 戦争の英雄を貶すことを言うわけにいかない
- 戦争の評価: だからと言ってはっきり言ってこの第二次世界大戦ってやり損だった、勝ったからまあ良かったようなものの逆って負担増えちゃったよとも言えない
- 本当の敵: 本当の敵というのはファシストではなくて共産主義者だったというのが分かった
- 皮肉な結果: でも戦争終わってみたらファシストが消えて共産主義者が力を伸ばしていた
■ 8. 原子爆弾という唯一の拠り所
- 唯一の救い: アメリカにとってまあまあこれがあるからいいかなと思えたのは変な話日本に落とした原子爆弾だった
- 原子爆弾の力: 原子爆弾の力というのはアメリカにとってもう本当に唯一無二絶対のもの
- 開発の困難さ: よその国が開発しようとしてもおそらく30年ぐらい余分にかかる
- 安全の保証: アメリカは今後攻めて来られることがないだろうという風に言っていた
- 共和党への朗報: これはその共和党にとってもいいニュース
■ 9. 神の国アメリカ
- アメリカの自己認識: 元々アメリカというのは神の国という風に彼ら呼んでいる
- 新天地の建設: ヨーロッパの宗教的な縛りを抜けて新天地を作った
- 地理的優位性: 神の国というのは太平洋と大西洋という地球で一番大きい海に隔てられてよそから攻めにくい
- 広大な国土: おまけに国土も広大だから例え海岸線が攻められても内陸まで攻められることはまずない
- 絶対安全: とりあえず攻められても攻められても絶対安全な平和な国がある、神の国があるというのがアメリカの信仰だった
■ 10. 原子爆弾による安全保障
- 最終兵器: もしそれが攻められた時でも相手を立ち所に一発で破壊できる原子爆弾というのが我々にはあるではないかと思っていた
- 上層部の考え: 当時のアメリカの上層部が考えたひょっとしたら第二次世界大戦なんてやらない方が良かったかもわからないけど
- 原子爆弾の価値: でも原子爆弾が手元に残ったから良かったじゃんかっていうように考えていた
■ 11. インディアナポリス号事件
- 事件の概要: アメリカの重巡洋艦インディアナポリス号が日本の伊号潜水艦によって撃沈された
- 被害の大きさ: 800人の乗組員が海に投げ出されて鮫に次々と食われた
- 歴史的意義: アメリカの海軍の歴史の中でも最大の汚点という風に言われている
- 機密任務: 実はこれは原爆の材料を運んでいた
- 運搬物: 一説によると長崎に落としたファットマンのプルトニウムを運んでいたのではないかと言われている
■ 12. インディアナポリス号事件の隠蔽
- 秘密任務: インディアナポリス号の出航もコースも全て秘密にされていた
- 発見の遅れ: インディアナポリス号が沈んだ時になかなかわからなかった
- 発表のタイミング: 結局沈没のニュースが発表されたのが1945年8月14日だった
- トルーマンの発表: 1945年の8月14日午後7時にトルーマン大統領が長い苦しい戦いを終わったと言って太平洋戦争の終結、つまり日本が降伏して我々が勝ったというのを発表
- 海軍省のレポート: この直後にタイミング悪くアメリカの海軍省がレポートを出して重巡洋艦インディアナポリス号は日本の潜水艦に沈められたとレポート出した
■ 13. アメリカの衝撃
- 国民の反応: アメリカは勝利で一瞬わーっと湧いたが3日後ぐらいにはもうワシントンポストとかはものすごい批判して大騒ぎになった
- 最大の汚点: アメリカの海軍の歴史の中でも最大の汚点という風に言われている理由
- 他の沈没との違い: それまでアメリカの海軍の軍艦が空母を含めて沈められたという事故はいくらでもあったが、それは散々お互い攻撃して双方被害甚大でアメリカの戦艦も沈みましたというのがほとんど全部だった
- 一方的な被害: インディアナポリス事件だけは日本の伊号潜水艦によって簡単に沈められてしまって日本側の被害ゼロでアメリカ側の被害が戦艦と1400人の人間が被害にあって900人ぐらいが死んでしまった
- 国民のショック: めちゃくちゃアメリカ中はショックを受けた事件
■ 14. 原爆Tシャツの衝撃
- Tシャツの発見: サンフランシスコのお土産店で買ったTシャツにMade in USA Tested in Japanと書いてあった
- 意味: アメリカで製造されて日本でテストされたという意味
- 購入場所: サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフというところのお土産屋
- 父親の経験: 父親は陸軍の師範学校行っていて1945年には20歳ぐらいだったが、最後の最後の年で徴兵されて広島の師範学校に行った、山の田舎の方だったからなんとか助かった
- 世代の共通体験: 同じクラスの子って大体家族の誰かが戦争で死んでたりもしくは身体障害者になっていたりという人はすごく多かった
■ 15. ブラックジョークの衝撃
- 初めての衝撃: 生まれて初めてアメリカに行ってサンフランシスコでこういうTシャツを堂々と売っているのを見てめちゃくちゃびっくりした
- 度を越えた表現: ブラックジョークというにしてはちょっとあまりにもひどいなという風に思っていた
■ 16. スミソニアン博物館のエノラ・ゲイ展示問題
- 当初の計画: スミソニアン博物館には元々エノラ・ゲイ(原爆を落としたB-29)が展示されるはずだった
- 展示理由: アメリカの歴史を変えた飛行機だからスミソニアン航空博物館に展示されるはずだった
- 広島の展示計画: そのB-29の横に広島ではこんなことが起こったという今の原爆資料館の内容の縮小版みたいなものが同時に展示されるはずだった
- 在郷軍人会の反対: アメリカの在郷軍人会、つまり元軍人だった人たちの退役軍人の人たちのグループがもう猛反対した
- 時期: 1995年の話で20世紀の本当にギリギリの終わりの辺りの話
■ 17. 展示の妥協
- 結果: B-29(エノラ・ゲイ)は展示するが原爆の被害というのは展示しないことになった
- 別館への移動: それはスミソニアン博物館に展示するのではなくスミソニアン博物館の別館に展示することになった
- 別館の遠さ: 別館まではバスで1時間ぐらいかかる、全く別の建物でもう個人の名前がついてるような博物館
- 厳重な警備: エノラ・ゲイだけは全然触れないようになっていて周りに監視カメラも山のようにある
- 国論の二分: 1995年の段階でも国論が二分された
■ 18. 1970年代~80年代の原爆イベント
- 原爆ショー: 1970年代80年代にニュースで見たところではアメリカのカリフォルニアの航空ショーでB-29が飛んできて模擬爆弾として原爆を落とす原爆ショーというのがあった
- 観客の反応: 原爆ショーで原爆を落としたらみんながおおっとこう盛り上がる
- 正しい兵器: それぐらい原爆というのは正しい兵器であった
- 侵略の回避: あのまま日本と戦争を続けていたら多分アメリカは全面侵略しなきゃいけなかった、そしたらもうベトナムと同じことで血を覚悟している日本人と白兵戦で格闘したら両者に犠牲者がすごかった
- 正義の爆弾: 原爆というのはアメリカの若者数万人、数十万人の命を救い、同時にそれに対して戦うはずだった日本人の数万人、数十万人の命も救ったので正義の爆弾というのが基本的に1970年代ぐらいのアメリカ人の考え方だった
■ 19. 国論の変化と館長の辞任
- 1995年の変化: 95年には国論が真っ二つに分かれて結局スミソニアンの館長がもうこんなんだったら俺辞任するって言って本当に辞任してしまった
- 辞任するほどの対立: 辞任するぐらいアメリカの国論が二分されている
- 変化の速さ: 10年か20年ぐらいでアメリカという国も変わってきた
■ 20. アメリカ人の複雑な思い
- 悪いことの認識: 悪いことをやったかもしれないけどそれは仕方なかった
- ナチスとの競争: 自分たちがしなければナチスドイツが先に原爆開発したかもわからない
- アメリカ人の命: アメリカ人の命が失われたかもわからない
- 民間への投下: でも軍事施設じゃなくて民間の町に投下したということは明らかにまずいことなんだけどそこまで言わないで欲しい
- 複雑な感情: いろんな言い訳理屈できるんじゃないかというような複雑な思いがあるのでアメリカの国論が二分された
■ 21. 戦争終結後の喜び
- 原子爆弾の爆発: 原子爆弾が日本で爆発してそれのおかげで戦争が終わった
- 若者の帰還: それのおかげでいっぱい若者がアメリカ大陸に帰ってきて戦争に行っていた息子が帰ってきた
- 祝賀の光景: ニューヨークのブロードウェイでそこら中で水兵と女の子がキスして
- 出生率の上昇: 次の年の出生率が山のように上がってそれがアトミックベイビー(原爆の子供たち)という風に呼ばれた
- アトミックカクテル: アトミックカクテルというその平和と愛を象徴するカクテルにその原爆の名前が使われていた
■ 22. 歴史の落とし所
- 歴史の評価: そういう歴史というのをこうずっと見ているとなんかそれがようやっと一つ落とし所が見えたみたいな形で良かったんじゃないのという風に思ってしまう
- アメリカの自己認識: アメリカイコール正義と本気で思っている国
■ 23. スタッズ・ターケルの『良い戦争』
- 著者: スタッズ・ターケルというピューリッツァー賞を受賞したノンフィクションライター
- 『良い戦争』: ベトナム戦争の最中に出た本
- ベトナム戦争: アメリカにとって良い戦争と言い切れない戦争、なんか俺たち侵略者になった
- フランスの撤退: 元々フランスの植民地政策のフォローするつもりだったのがあっという間になんかフランスが抜けちゃって
- 戸惑い: 俺たちがドミノ理論によってなんかソ連と対抗するためになんかこんな米ばっかり食っている泥だらけの国に行ってなんで俺たち戦わなきゃいけないんだというなんかこうすごい戸惑いの中
■ 24. 第二次世界大戦の評価変化
- 1950年代: 50年代はアメリカは自分のことを正義と思っていた
- 1970年代: 70年代はすでにベトナム戦争があるので正義であるということを疑っていた時代
- 若者の反応: 国の中では若者がそのベトナム戦争から帰ってきた軍人に花ではなく泥を投げつけていた時代
- 国の混乱: 本当に国の中ぐちゃぐちゃになってきた
- 1980~90年代: 80年代から90年代になってきてやっとレーガンが出てきてアメリカ正義だと言った時に南部の一部の保守的な人達は声をあげたかもわからないが、北部とか西海岸の人たちというのはどうだろうなという風なことになっていた
■ 25. 正義の国という自己認識
- 保守系の言論: 日本には伝統があるとか日本人には美しい心があるという保守系の言論
- 日本の番組: 最近の日本の番組では世界から見て日本というのはすごいと思われているという変な、いわばオナニー番組みたいなのがいっぱいある
- アメリカとの類似: それとアメリカ人の正義の国という意識はなんかこう似ている
- 心理の違い: アメリカ人と日本人との心理の違いだけで、日本人は他人の目を意識するので日本というのは世界ですごいと思われているという風に言いたがる
- 自己認識: 自分の国は正義の国だと言いたがるだけ
- バランス: アメリカ人は自分のこと正義と言いたがるって言うんだったら逆に言えば日本人は自分のことすごいと思いたがってるとか世界からすごいと言われてると思いたがっている国だぐらいのバランス取っといた方がまあ正しいんじゃないのかなと思う