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「女性初・高市首相」誕生を祝えぬリベラル派、「女装した安倍晋三」「中身は男」の言説が促す...

要約:

■ 1. 現代日本政治における左派の位置づけの変化

  • 55年体制の枠組みの変容: 「保守と革新」という従来の政治イデオロギーの型が、現在の40代以下の若年世代には通用しなくなっている
  • 世代による認識の逆転: 若年世代は「革新」の側に維新を、「保守」の側に自民党と共産党を配置するようになった
  • 有権者の世代交代: 現在の日本政治は有権者の世代交代に伴い、旧来の常識では理解できない展開を示している
  • 左派の有権者からの乖離: ジェンダーや反差別、社会保障の充実を掲げる左派やリベラル派が時代の変化の中で有権者から乖離している
  • 「保守的」と映る左派: 現役世代にとって左派やリベラル派が「保守的」な人々と映る現象が生じている

■ 2. 現代日本社会の構造的制約

  • 人口減少と少子高齢化: 日本社会は人口減少や少子高齢化に規定されている
  • 根本的解決の不在: 快刀乱麻を断つ根本的解決や利害調整を度外視した革命的決着は存在しない
  • 政策裁量の限界: 誰が政権を担おうと行政のとれる政策の裁量は限られている
  • プラグマティックな対応: 眼前の課題に対してプラグマティックな試行錯誤を通じて弥縫策を繰り出していくしかない状況である

■ 3. 左派の「保守化」のメカニズム

  • 社会主義という切り札の喪失: 左派やリベラル派は「社会主義」という切り札を失い、権力を担う立場から久しく遠ざかってきた
  • 権力批判への偏重: 行政が提示する弥縫策の弥縫さにこだわり、試行錯誤の錯誤に難癖をつける悪しき意味での「権力批判」に存在意義を見出している
  • 若年層からの評価: 55年体制の「革新」の理想を共有しない若年層からは、現実の改革に何でも反対する「保守的」な勢力として映っている
  • 改革反対勢力としての認識: 現役世代や若年世代からすれば、左派が「保守的」に見える「保守化する左派」という認識が生じている

■ 4. 高市首相誕生への左派の複雑な反応

  • 初の女性総理: 高市早苗氏が日本で初の女性総理として誕生した
  • リベラル派の提唱: リベラル派やフェミニズム論壇は女性の政治参加を促進するためパリテやクォータ制などを提唱してきた
  • 望まれた形との乖離: 高市首相はタカ派的で保守的な信条を持ち、左派やリベラル派が望んだのとは違う形での女性総理であった
  • 否定的言説の出現: フェミニズム論壇から「女性なら誰でもいいわけではない」「高市の中身は男」「女装した安倍晋三」という言説が出現した
  • 整合性の欠如: 目の前の変化と自らの立場との整合性を必ずしもつけられないでいる状況が生じた

■ 5. ガラスの天井突破の意義

  • 歴史的意義: 日本政治における「ガラスの天井」を破った意義は大きい
  • 超党派的評価の必要性: その点は与野党を超えて率直にポジティブなものと受けとめられるべきである
  • 将来への一里塚: いかに保守的な政治家といえども、高市総理の実現は「リベラルな女性首相」の誕生にとっても一里塚になる
  • 保守化した印象: 左派の反応はいかなる現状変化にも難癖をつける「保守的」なイメージを抱かせるものとなった

■ 6. 紙の保険証問題における左派の姿勢

  • 2024年衆院選の争点: 「紙の保険証」の存廃が衆院選の争点の一つとなった
  • 立憲・共産の主張: 立憲や共産などは「紙の保険証を守ります」と訴えた
  • インフルエンサーの批判: 堀江貴文氏やひろゆき氏がSNS上で繰り返し批判した
  • シルバー民主主義の批判: 高齢者に迎合する「シルバー民主主義」、日本のデジタル化やイノベーションを阻む「老害」勢力として印象づけられた
  • 若年層からの「老害」評価: 若年層から左派が「老害」の烙印を押される結果となった

■ 7. 103万円の壁問題における左派の対応

  • 国民民主の提案: 国民民主の玉木雄一郎氏がパートやアルバイトの課税発生額である「103万円の壁」をとりあげた
  • 若年世代の支持: 大学生や主婦層の手取りを増やすという訴えが若年世代の支持を得た
  • 大学生の歓迎: 授業アンケートなどを通じて「103万円の壁」の打破が大学生から歓迎されている
  • 深刻な課題: 年間103万円は月にならせば8万5000円であり、所得税の発生と手取り減は深刻に捉えられてきた
  • 若年層の政治的覚醒: これまで政治的無関心とされてきた若年層が「シルバー民主主義への反乱」という形で政治的に覚醒した

■ 8. 左派の理想論と現実の乖離

  • 左派の複雑な反応: 「103万円の壁」の是正が若年世代に歓迎されている現状を前に、左派やリベラル派は複雑な反応を示した
  • 真の若者の味方というスタンス: 自分たちこそ「真の若者の味方」というスタンスを迫られた
  • 弥縫策としての批判: 「103万円の壁」の是正はしょせん弥縫策であり、本来は「学生がアルバイトをしないで勉強できる社会を作らなければならない」と主張した
  • 給付型奨学金の拡充: 左派やリベラル派は給付型奨学金の拡充を訴えた
  • 当事者の視点の欠如: 実際の大学生にとって、いつ実現するかもしれない理想よりも来年のアルバイトの手取りが増える方がはるかに現実味がある

■ 9. 根本的解決論のパラドクス

  • 改革への水差し: 理想論をかざして眼前の具体的改革の問題点を指摘する左派は、改革に水を差す「保守的」な立場に映った
  • パラドクスの発生: 現状の「根本的解決」を掲げる立場が、実は現状の改革を遅らせる足枷と映り「保守的」に捉えられるというパラドクスがある
  • 変化への受動性: 左派やリベラル派はその変化と自分たちの信条とを折りあわせることのできないまま、変化そのものに受動的である
  • 結果としての保守化: 結果として「保守的」な立場に追いやられている

■ 10. 左派再生への道筋

  • 現在の隘路: 日本の左派やリベラル派は変化そのものに受動的で保守的な立場に追いやられるという隘路に陥っている
  • 冷笑主義への同調拒否: 左派やリベラル派を外部から攻撃したり、その理想そのものを揶揄する冷笑主義に同調することもできない
  • 自己改革の必要性: 左派やリベラル派が再生するためには、その内部からの自己改革として時代の変化を受けいれ順応する姿勢が必要である
  • 新しいリベラルの勃興: 現役世代には反戦平和主義や反権威主義にはコミットしていないものの、子育てや教育など将来世代への支援を望む「新しいリベラル」が勃興している
  • 社会投資型福祉国家の支持: 個人の成長のための社会投資型の福祉国家を支持する層が存在する
  • 再生の条件: 世代や価値観の異なる他者と対話を通じて「新しいリベラル」の民意の受け皿となること、そのための不断の自己改革に乗りだすことが必要である

MEMO: