■ 1. 真剣10代しゃべり場の番組構成
- NHK教育で5月6日金曜深夜10時50分から一晩限定で復活
- 元々はレギュラー番組で岡田斗司夫が3回ほどゲスト出演
- 中学生・高校生10人近くにゲストが加わり議論する形式
- 収録・編集番組だが中学生・高校生がちゃんと議論しているように見える
- 日本で類似番組がほとんど成立していない理由は特殊な制作手法にある
■ 2. NHK教育の制作姿勢
- スタッフは出演者を「子供」と呼ぶ
- 民放なら中学生・高校生と呼び子供扱いを隠すが、NHK教育は明確に線引き
- 子供として扱うことを隠さず、子供たちに自由に発言させる方針
- 自由発言による2つのリスク:
- 本当の喧嘩になり罵り合いになるリスク
- 早期に妥協して仲良い結論に落ち着くリスク
■ 3. ディレクター体制の特徴
- すべての子供に担当ディレクターがつく
- 1人のディレクターが約3人の子供を担当
- 総合演出以外に3人のディレクターが配置され9人の子供を担当
- 3人のディレクターがチームを組んで番組を構成
- 事前に子供たちと何度も話し合い、何を話したいかを練り上げる
- 地方在住者とは電話で打ち合わせを重ねる
- 問題提起する子以外の2人のディレクターは対抗論を考える
- ディレクターは自分から何を話すべきか絶対に言わない
■ 4. 経験談を重視する制作方針
- 子供たちの経験談を徹底的に聞き出す
- 身近にいる人(父母兄弟姉妹)の話や自分自身の体験を全て聞く
- 民放やYouTubeで失敗する理由は出演者が安易に考えを話すから
- 考えを話すと空理空論の言い合いになり収拾がつかない
- 徹底的に自分に起きた話や知り合いの実例だけで話すよう指導
- 体験談のみで展開することで議論に足腰がつく
■ 5. 事前準備とチーム戦略
- ディレクターが1週間前に集まり会議を実施
- 各ディレクターの担当する子供の情報を出し合う
- どの子が対立するか、誰が対抗馬になるかを予想
- 各チームの代表を決定
- 当日は楽屋でチームごとに集まる
- 代表の子には同じチームの子がバックアップするよう指示
- 対抗チームには相手の話を潰さず自分の経験談をぶつけるよう指示
■ 6. 収録の進行方式
- 8角形のリング形式でポストとロープがある
- 丸椅子に座り、ゲストは最後に入場
- ロープが繋がれリングから逃げられない状態で本番スタート
- 一切カットなしで収録が進行
- 子供たちは2〜3ヶ月で慣れて成長が早い
- 相手が沈黙したら待つ耐性ができている
- 同じチームがバラバラに座らされており目配せで意思疎通
- 1人が喋る時の残り8〜9人の目配せが重要
■ 7. 休憩時間の作戦会議
- 45〜60分でテープチェンジのため5分休憩(実際は10分以上)
- ディレクターが各チームを呼び出して作戦会議
- 事前打ち合わせで話すはずだった内容を確認
- クールダウンや役割の再確認を実施
- ゲストには総合演出から「後半は思いっきり思ったこと言ってください」と指示
- 子供たちは潰れないから本気で言って欲しいという信頼感
- 子供たちは体験談を喋っているため多少打たれても負けない
- 大人は思想・考え方で話すため足腰が弱い
■ 8. 番組の質と特徴
- 密度もレベルも高い番組
- エンタメ性も非常に高い
- 大人はあくまでサポートに徹する作り
- 後半はテープの限界まで回し無理に結論を目指さない
- レギュラーでの復活を望む
■ 9. 良い討論番組を作るポイント
- 面白い人を集めるのではなく普通の人を集める
- 体験で面白い人を集める
- 体験ゆえに意見を持っていて強い人を選ぶ
- 譲れないものを持っている当事者を呼ぶべき
- 研究者ではなく当事者同士をぶつける
- 女性差別を許せない人には男女平等でかわいそうなことが起きたと体験した人をぶつける
■ 10. 朝生との対比
- 朝まで生テレビは議論が成立していない
- 相手の発言に対してマウントを取り早口で喋るだけ
- 議論として機能していないグズグズの番組
■ 11. エンタメとしての討論番組論
- ニコ生の討論番組は真面目すぎて頭が良い人を呼ぶため盛り上がらない
- お互いに言っていることがすぐ分かってしまう
- 極端な意見を持つ人(放射能は安全派vs危険派など)を両端に配置することで番組が盛り上がる
- 討論番組は娯楽であり見世物である
- 本気の討論番組ならパネラーは2〜3人が限界
- 海外のまともな討論番組は1対1か最大3人まで
- 5人6人呼ぶのは真面目な議論を捨てた番組側のスタイル
- 岡田斗司夫は4〜5人の討論番組には出ないと決めている
■ 12. キャラクターと演技
- 複数のキャラクターが出る番組では自分のキャラをはっきりさせるため極論を言うしかない
- UFO特番では「何でもプラズマ」派と「全部UFO」派がいるから番組が成立
- 矢追純一と大槻教授の例:個別に話を聞けばまともだがテレビでは役に徹している
- ニコ生や海賊放送では演じる必要がない
- 一人で話す時は何かを演じる必要はない