■ 1. クマ被害の深刻化
- 今年度のクマ被害による死者数は全国で13人と2006年以降の統計で過去最悪
- 人を食べる目的で襲った食害のケースも複数報告
- 人身被害とともに駆除への抗議活動が深刻な問題となっている
■ 2. 過激な動物愛護派の投稿
- 実際の投稿例:
- クマの住処と食べ物を奪ったのは人間
- 母熊と幼い子熊は空腹のまま鬼に惨殺された
- 猟友会は犯罪者集団
- 一番絶滅すべきは人間
- 熊殺しは神殺し
- クマ被害が深刻な地域を名指しして地域差別をあおる投稿:
- どうせ消滅する地域
- 県民の民度も残念
- 不買運動の呼びかけ
- クマに襲われ亡くなった人やその遺族に対する自業自得という誹謗中傷
■ 3. 動物愛護の本質は人間憎悪
- 精神科医香山リカ氏の分析:
- 行き過ぎた動物愛護の根底には人間不信や人間憎悪がある
- 人間は利己的で金儲けのために環境破壊したり動物を殺したりしていると思い込む
- 動物はピュアで神聖な存在として理想化・神格化する
- 動物が言葉を持たないことが理由:
- 人間社会で批判されたり理解されない環境でも動物だけは自分を分かってくれて否定せず寄り添ってくれるはずというファンタジー
- 実際には動物が何を考えているか分からず餌がもらえるから懐くという本能に根ざした行動かもしれない
- 猫は甘えん坊、クマは優しいなど擬人化して感情移入
- 実生活でうまくいっていない、心に何らかの傷を抱えている人ほど過度な動物愛護に陥りやすい
■ 4. クマが感情移入されやすい理由
- 魚や昆虫の命に比較的関心を持たないのは擬人化により感情移入できる要素が少ないため
- クマは哺乳類の中でも感情移入しやすい動物:
- かわいいから
- モフモフした手触り、ずんぐりとした体型
- 子育ての習慣
- 立ち上がった際のユーモラスな姿
- テディベアやプーさんなど古今東西多くの国でデフォルメされたキャラクター
■ 5. 日本特有の「かわいい」文化
- かわいいという価値が日本では大きな意味を持つ
- 議論によるコミュニケーションよりも同調圧力を重視する日本文化:
- 成熟したものは怖い、未成熟なものほどかわいい、優れているという価値観が強い
- 環境問題に根差した欧米のアニマルライツ活動とは異なる:
- 日本の動物愛護ではかわいいことがすごく重要
- 理屈よりもあんなかわいいものが殺されるなんてという感情が先に来る
■ 6. 香山氏自身の経験
- 幼い頃から動物が好きで犬・猫・小鳥などさまざまなペットを飼育
- 過去に動物愛護に傾倒しそうになった時期があった
- 現在は北海道で猟銃免許の取得・更新に必要な診断書を書くこともある
- ハンターに「なぜ犬を大事に飼っているのにクマやタヌキは殺すのですか」と質問した経験:
- 同じ動物でもペットと害獣は全然違うと言われてハッとした
- なぜ見ず知らずのクマには感情移入するのに目の前の住民の生活には目が向かないのかと気づいた
- それからは意識的に理性を働かせ自分に言い聞かせるようにしている
■ 7. 分断の深刻化
- 被害者の心情を逆なでするような動物愛護の言説に対しネット上では極端な反論:
- クマは絶滅させるべき
- 擁護派がクマに食われればいい
- 両者の分断が深刻化
■ 8. 対策と今後の課題
- センセーショナルな報道の逆効果:
- クマへの恐怖心をあおりすぎるのは逆効果
- 動物愛護の人たちは人間不信が根底にあるためマスコミがクマを悪者にして利用していると裏を読んで反発
- 感情や情緒を刺激しすぎない客観的な報道が必要
- 動物愛護の暴走は日本に限らず欧米ではより過激な抗議活動が破壊行為や暗殺などのテロ事件に発展した事例もある
- 人と人のいさかいがクマ以上の脅威とならないよう冷静な議論が求められる